凄惨な事件、事故の報道を眼の前にして愕然としています。メンタルヘルスケアに携わる仕事をしている自身の無力さを噛み締めています。開業カウンセラーにできることはどのようなことなのか?と。
自分にあったカウンセラーを探すことに、ご不安を感じる人は多いものです。それは無理もないことであると思います。カウンセラーを選ぶのはお客さまにとって大切なことです。
「情報が多すぎてどのように選んだらいいかわからない」
「値段がまちまちで、安い方に行ってしまう」
「良いカウンセラーとは、どういうカウンセラー?」
「どういう基準で選べばいいのか、わからない」
「はじめてなんですが、」
「なんどもカウンセラーを変えています」
私は初回のカウンセリングにてお話を伺ってから、いくつか提案を申し上げています。なかには、カウンセリングより、はじめに、緊急措置や医療機関が必要な方もおられます。また、はんたいに、お薬よりもカウンセリングが有効なケースもあります。さらに、個人カウンセリングよりもグループセラピーが有効なケースもあります。引きこもりや不登校などのケースで、ご本人がカウンセリングを受けられないケースでは、ご家族のカウンセリングを提案いたします。家族療法の視点です。
最近のケースでは、経営者、ビジネスマン、また、教員、医療者などの援助職の方でカウンセリング(SV:スーパーヴィジョン、コンサルテーション)が有効のケースがおおくあります。仕事上の問題をひとりで抱え込んでしまうことの心的負担がおおいように思います。日本においては、まだまだ、こうしたカウンセリングの敷居がたかかったり偏見があるかもしれません。
カウンセラーの選び方、自分にあったカウンセリングの選び方の一つの視点
私自身が、自分のカウンセラー、スーパーヴァイザーを選ぶ際の視点として、事例をあげます。ご参考にしていただければ幸いです。
私の提案は、実際にカウンセラーに質問をしてみると良いと思います。
1,カウンセラーの自覚
「◯◯◯についてはどのようにカウンセリングをすすめていかれるのですか?」
人間理解はひとつやふたつではありません。トラウマセラピーにおいても、これが唯一のセラピー手法だというものはありません。カウンセラーも発展途上のひとりの人間です。そのことを自身で自覚してないとすれば、クライアントさんを、上から見て説教をしたり、過剰に防衛的になったり「それはあなたの(行動、考えなど)問題なのだ」とレッテルを貼り付けたり、「私は◯◯◯セラピーの権威である、それが効かないのはあなたがわるいからだ」と自己防衛するかもしれません。おおくは非言語で。
2,カウンセラーが、自分自身のカウンセリング、SV(スーパーヴィジョン)、コンサルテーションを受けているか
「◯◯さんは、ご自身のカウンセリング、SVを受けていますか?」
カウンセラーは、客観的に自分自身をモニターすること、自分に何が起こっているのかを探索することが大事な仕事です。自身のカウンセリング、SVを受けることは仕事としても大切です。
私のケースでは、開業して10年になりますが、個人のSV、書いている研究発表の査読、グループワークのSV、精神科医からのグループSVなどを受けています。
3、セラピー構造を持っているか
「◯◯◯についてはどのように経過するのですか?また、スケジュールや料金を教えてください。」
1〜6回のお見合いカウンセリングを経て、カウンセラーは「見立て」を立てます。クライアントさんと共にセラピーのゴールを設定して、回数や料金を決定します。また、中心となる心理療法基盤や技法についても話し合われます。これは、段階を経て常に適切に更新されるものです。
私のケースでは、アダルト・チルドレン(AC)、家族トラウマ、複雑性PTSD、パーソナリティ障害などのケースでは、第一段階:最初〜n回を個人セッション、自身での安全確保、これまでの回想、家族療法の視点、コミュニケーションのパターンの特定、修正、第二段階:自己の探求、第三段階:グループワークでの情緒相互交流、対人関係の修正、第四段階:自身の専門性に気づく。です。
4,関係性、人間関係を持てるか
カウンセリングの過程でカウンセラーとは、自分にとってとても脅威に感じる期間があります。悩みや困難は、クライアントさんの現状の自己同一性であるわけだから、変化、変容、治療、回復がすすみそうになると、脅威に感じることは自然なことです。カウンセリングに行きたくない、カウンセラーが怖い、文句を言いたい、怒りが湧くなどなどはとても良いプロセスにあるシグナルと言えるでしょう。それらを、ともに経過するには、カウンセラーとの、信頼関係、人間関係(セラピー同盟といいます)が必要です。
初回〜3回ぐらいのカウンセリングの間に、このカウンセラーとは人間関係を持てるかなーと判断することは大事です。