オンライン小説『リバウンド』rebound-043    家政婦フミ。

フミはキッチンで片付け物をすませて蛇口を止めた。
何か物音がする。2階でお嬢様がシャワーを使っているのかと思ったがもう学校に行っている時間だ。廊下にでるとスリッパが濡れた。階段の上から水がぴちゃぴちゃと流れている。フミはびしゃびしゃとスリッパを濡らして2階へ上がった。お嬢様の部屋のドアの隙間から勢いよく水が流れている。ななにこれ。ノックをしたが返事がない。フミはどうしたものかと迷ったが母親の会社に電話した。会議中とのことでなんどか保留になりつながらない。お嬢さんの事は母親に電話しろと言われていてまた迷ったがカワムラの携帯に電話した。
「はいはい、わたしだ」
「あの・・・お嬢様の部屋から水が流れていまして」
「水?蛇口をあけたまま学校へ行ったんじゃないですか?」
カワムラはそんな事で電話してくるなよとめんどくさそうに言った。
「あの・・・靴も自転車もありまして、学校へは行っておられないようでして」
「じゃあ、またふてくされて寝てるんじゃないですか?」
「・・・ええ、でもあの・・・」
「ドアは開かないんですか?」
「はい、あの、お嬢様が中から鍵をおかけになっているようでして」
「母親に電話してもらってもいいですか?合鍵を持ってるとおもいますんで」
カワムラはめんどくさいなぁと頭をかいて電話を切ろうとした。
「あの・・・」
「なんですか?私は仕事中なんです」
「お部屋から、あの・・・血のようなにおいがするんです」
「血?」
「血です」
カワムラはフミがこれほど語気をあげるのをはじめて聞いた。めんどくささが嫌な予感に変わって行く。レナは何度か手首に刃物をあてたことがある。
「すぐに誰かを行かせますからそこにいてもらえませんか?」
カワムラはフミにそう言って携帯を切ると、すぐにまた短縮番号を押した。

2020.10.30

 

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