ACカウンセリング

アダルト・チルドレン カウンセリング 臨床心理士 神奈川 茅ヶ崎 2024.5 更新

アダルト・チルドレンカウンセリングの臨床的なコンセプト:

健康な自己愛の発達、表現に制限のかかっている人々の特徴を理解して発達をうながすこと、より成熟した大人の自己愛者に変容することを促すこと。<引用文献:斎藤学 毒親って言うな!>

カウンセリングは、家族・人間関係の悩み、感情の制御の問題、自己感覚の問題などからはじまりますが、ワークがすすむにつれ、知らずしらずのうちに、こうした課題は、

「どうやって愛したらいいのだろうか?」
「どうやって愛されたらいいのでしょうか?」
という自分の存在の確認や、親密な他者(自分自身を含む)との関係性、の課題に変化していくでしょう。

健気で純粋な行動パターンや痛々しくむきだしな物語りは、「残りの人生に、どのような生きる意味を見出すか」という実存的な物語りに変化していくと言えるでしょう。

カウンセリングがすすむにつれ回復や変化にあらわれる言葉は、自身を守る言葉に変化していくでしょう。

「他人のために生きるなんて、もうまっぴらだ!」
「わたしは、なんのために生まれてきたの?」
「わたしがわたしであるために、どう生きていけばいいの?」

アダルト・チルドレンカウンセリングとは、誰か他の人のようになるのではなくて、これまで生き延びてきた自分の内面にすでにある力を「知恵」に変えていくための時間となるのです。自分のこれまでの体験を肯定して力を見出す作業です。統合的な臨床研究と研鑽を積んだカウンセリングは助けになるでしょう。

アダルト・チルドレンカウンセリングの臨床的な戦略と推移:

カウンセリングの途中・経過などにおいて、自分はいったい、どのへんのどの道を歩んでいるのかと不安になることはあるものです。また、カウンセリングをはじめることは、誰にとっても不安や心配は尽きないものです。
家族とAC研究室で取り組んでいる事例から概ねのプロセスを以下に挙げます。ご参考になさっていただけますと幸いです。

ACカウンセリングの推移 カウンセラーと取り組む過程
1,初回カウンセリング〜じっくりゆっくり言い分を語る。
・子ども時代に、親や養育者を気遣って、閉ざしたまま、大人になっても語られていない言い分について耳を傾けます。
・子ども時代に初期設定した心的防衛メカニズムに頼りきりの状態に頼りきりでは、人間関係や愛情の交流に支障が生じる。
・ACの再考と理解:自己愛の毀損が由来する、最初の依存、共依存。感情制御の問題、対人関係の問題、自己感覚の問題
・最初のデフォルト設定は、いつごろ、どのように設定されたのだろうか?
・現在の生活にどのように影響を及ぼしている?
・ジェノグラム(心理学的家系図)の作成と理解
・目指すセラピー的変化をカウンセラーとともに設定します。それを実現するための構造を創ります。
2.悲嘆と回想
失ったもの、得られなかったものへの嘆きの時間となります。原家族への怒りや憤りの感情が浮上してくることがあります。カウンセリングと定期的な集団心理療法の併用は助けになります。数ヶ月から数年に及ぶこともあります。
・子ども時代の心的防衛メカニズム
「原始的引きこもり、否認、万能感コントロール、原始的理想化と価値下げ、投影、取り入れ、投影同一視自我のスプリッティング、解離」
・セラピー的、人間関係を育む
・共依存と複雑性PTSDの理解
・見捨てられ防衛の理解と対処
3,虚無と抑うつ、分離不安
数ヶ月から数年に及ぶこともあります。
・これまで生き延びてきた共依存パターンの特定
・特徴的な防衛機構、特徴的なパーソナリティ傾向の理解。
・ポジティブコノテーション、リフレーム
・定期的なグループミーティング、家族トラウマに配慮した集団心理療法の継続
4,健全な自己愛を育む〜自律 ・原家族で繰り返されたコミニケーションパターン
・断片化、結び目、編集、歴史をつなげる
・自己心理学の「共感」を基盤とした姿勢
「クライントさんが自己の一体性を維持しつつ、より理想的な自己へと成熟しようとするのを助ける、ないしはそうすることによって未成熟を補修する」
5,対人関係スキルトレーニング〜自立 ・弁証法的行動療法「感情や出来事を「受容」することに焦点をあてる。解消しなければいけないという執着を手放す。自己とは関係性の中にある、人生の本質は、その内容よりもむしろ変化(プロセス)にある。」
・子ども時代のデフォルトが由来する「認知・感情にまつわる思い込み」をリフレームする。
・認知の修正と行動の調整、感情表現を学ぶ、対人関係の維持のスキルを学ぶ
6,実存的な対話と実人生 ・カウンセリングは、さまざまな人間関係の問題を契機にはじまりますが、やがて知らず知らずのうちに症状や関係の改善を通って「実人生の悩み」(健康的な悩みや不安)に変化していくものです。
・人生には(与えられた、使命)明確な意味や価値はない。しかしながら、欲すれば自らの生活を自由なものとすることができる。

今、起こっていることには意味がある、困難は個性化のプロセスでしかない、 逆境は「自分の専門家」になるプロセス。 現代社会がどんなに矛盾にみちているとしても、人は必ず、 自分らしく生きる意味を見つけることができると私は信じています。

2024. 家族とAC研究室 臨床心理士 明石郁生

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