家族のシステムとは、まるでそれ自体が自律性を持ち関係性を維持しようとしていると考えます。
家族療法では、個人のさまざまな問題を「個人の心の問題」とは考えず,「症状行動」と呼びます。
家族の中のひとりに発症した症状は,この家族システムの恒常性の維持,家族を成り立たせるために症状が起きていると見るところからはじめます。
症状行動のある個人に「学校へいきなさい」「カウンセリングに行きなさい」「症状をなおしなさい」
といくら言ってもその人は行かないし,無理に行かせても効果はありません。家族のシステムの中にその症状を必要としている「何か」があるのだからそれを「発見」して「そこ」のところを違うものに変えようと言うことになります。
家族カウンセリング
例えば「ひきこもり」はそれ自体が周辺への人々へのメッセージになります。「人」あるいは「人の心」とは単体では存在しえなく,他者との関係性の中でしか捉えようがないと言っても良いでしょう。
例えば,引きこもりが「ある種のコミニケーション」だとすれば,非行や親のアルコールやさまざまな依存症などの問題もコミニケーションで,家族内外の人々への「繰り返されるメッセージ」ではないかと考えられることになります。
アルコール依存者,引きこもり,摂食障害者,種々の嗜癖問題者といった「症状行動をとる弱者」の立場をとることの「効用」について考えなければなりません。そして,症状行動は一定のコミニケーションのメタファー(隠喩,暗喩)と考えられます。
症状行動が「誰の,誰に対する,どのようなコミニケーションのメタファーであるか」を明らかにしてその修正をはかることに家族療法の本質があります。
家族にコミニケーションしている本人を見ることによって,自分が理解されていることを感じ,いままではっきり意識することのなかった「父への反発」「母への怒り」「両親の不和を身を呈してなんとかしたい」を言葉として語れるようになり,それに伴って行動の修正も始まります。
<引用文献>
White, M. & Epston, D. (1990). Narrative Means to Therapeutic Ends. Australia:Dulwich Centre Publications:
(マイケル・ホワイト,デビット・エプストン共著 小森康永(訳) (1992). 物語としての家族 金剛出版)
斎藤学(2008)「家族神話」があなたをしばる 元気になるための家族療法 日本放送出版協会
Morgan, A. (2000). What is narrative therapy ? An easy-to-introduction. Australia:Dulwich Centre Publications. (アリスモーガン 小森康永・上田牧子 (訳)(2003).ナラティヴ・セラピーって何? 金剛出版)
このようなご家族へ
・ご家族にひきこもり,不登校のお子さがいらっしゃるが本人はカウンセリングなどにつながらない。
・ご家族にうつ,アルコールなどの問題行動がある。
・こども、配偶者を愛せないと感じている。
・ご家族に、慢性疾患、身体症状、生きづらさなどがあり心配だ。
・ご家族経営の事業を営まれていて、すれ違いが多いと感じている。
などなど。
家族カウンセリングの概要:
カウンセリングにお越しになられるご家族(父、母、姉弟など)の初回面接〜数回を経て、すすめかたについての戦略をご提案致します。
例)
・面接室にお越しになることのできるご家族のカウンセリングを行う
・ご家族の自助グループへの参加提案
・必要がある場合は提携医療機関との連携
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例)
長男のひきこもりへの介入例
父:自助グループへの参加
母:カウンセリング
長女:(必要があれば)他のカウンセラーとのカウンセリング
必要に応じて定期的な合同家族カウンセリング
*カウンセリングの回数,合同面接,作業内容を協議の上費用をご提案致します。