なぜか、カウンセリングには偏見がいまだに大きくあるし、カウンセリングオフィスは敷居が高い。かも知れません。これは、戦後、日本における経済復興を最優先としてきたことと関連しているのでしょう。健康保険制度が整備され、身体症状は適切な医療や投薬が受けることのできる状況にあります。経済活動への生産性、効率性におおきく貢献してきました。
でも、こころのケアが必要な状態については、「弱いこと」「不適応」「がんばりが足りない」などの根性論が残っているのかもしれません。
・カウンセリングというと、病んでいる人、こころの病いの人が行くところ、精神的な症状のある人が通うところ、または、メンタルの弱い人、社会や学校になどに適応できなくて困った人が通うところ・・・。
のようなイメージを持たれている方が少なくないでしょう。そのような側面もある専門機関もあると思いますが、「開業カウンセリングオフィス」は、だいぶ、異なった方を対象としている面がおおきいのです。
・カウンセリングは、さまざまな人間関係の課題が契機にはじまることが多いでしょう。人間関係の課題とは、どのような人々にも自然に訪れるものです。
誕生から、子育て、思春期、学校生活、学業、進学、就職、結婚、夫婦生活、離婚、病気、死別などなど。人間関係の課題は時間の推移とともに、自己の成長のために自然に生じるものと言えます。ゆえに、
家族との関係、夫婦関係、職場での対人関係のストレス、将来に関する不安、病いとのつきあい、などがカウンセリングが有効な対象となります。
また、自己成長のために、カウンセリングは有効と言えます。
例えば、自己成長について、あの人のようになりたいと思うことはあるでしょう。それが父や母であったなら幸運なことでしょう。けれど、
そうでない場合は、友人、先輩や上司や、地域の年上の方など。著者やアーティストなどなどになりますね。
困難や帰路にたたされたときに、敬意を持ち、「あのひとだったらどうするだろう?」と考えてみるとことは、助けになるでしょう。
けれどそれは、自分にとって、どのように咀嚼して栄養にするか、味わうことが必要になります。必要なものを栄養にして、必要でないものを吐き出して。
しかしながら、あの人のやっていることの一側面だけを都合よくとって、咀嚼せずに、鵜呑みしてしまうことがあります。地位や権力や名声や、経済的な成功など
私たちは他人になることは、できません。
他人になろうとしたときに、自分を失い、苦しみを覚えます。そして、それをその人のせいにしたりします。
唯一、私たちは「自分」になることはできることです。
「自分の人生が幸福であろうと不幸であろうと、それは自分自身の創作なのだ。他の誰の責任でもない。このことを忘れずにいるならば、あなたは誰も責めはしないだろう。あなた自身があなたの最大の敵である。と、同時に最良の友である。」
<参考文献:スワミ・サッチダーナンダ著,伊藤久子訳,新版インテグラル・ヨーガ,めるくまーる,2020.>
カウンセリングへのとりくみは、
自分の声を聴くこと、「自分になること」への助けになるでしょう。
ファシリテーター:明石郁生 臨床心理士/統合的グループワークファシリテーター
CSPPカリフォルニア臨床心理大学院日本校 修士課程修了 臨床心理士
家族とAC 研究室 代表
所属学会:日本家族と子どもセラピスト学会 日本嗜癖行動学会 日本心理臨床学会 日本トランスパーソナル学会 日本ゲシュタルト療法学会
開業カウンセラーとして、精神力動的療法、家族療法、 ナラティブ・セラピー、認知行動療法、ゲシュタルト療法、 プロセス指向心理学、トランスパーソナル心理学等の 理論基盤を統合的に用いる臨床を実践、研究
家族とAC研究室 2023