ACの力を肯定していくためにいちばん大切なことは、いまの日常生活が安全な状態にあるのかどうかを確認することだ。カウンセラーはセッションのはじめに、クライアントさんの「安全」や「安全への姿勢」を検討することに時間のつかいます。
Co:何か具体的な危機が迫っている場合には、地域の資源を最大限に利用する手立てをいっしょに考える。
AC:具体的な危機?
Co:他害の企図などには警察の利用をためらわないように話しあう。
AC:あっ。
Co:ご夫婦やご家族の間で、暴力やその可能性がある場合も。
AC:あっ、子どもたちもですね?
Co:そうだ。自分で自分の安全を守れない状況にある場合は、医療機関の受診を検討する。また、法的なトラブルなどは専門機関への相談を並行してもらう。
カウンセラーが心身のシグナルを探求するには、まず環境の安全確保が最優先となるのだ。
具体的な例をいくつかあげると、食事との関係に問題があり体重が40キロを下回っているケースでは内科の受診が優先される。
AC:食べ吐きとか?
Co:うん、極端に制限をして全然食べないとか。
AC:女子におおいのでは?
Co:そうだね。婦人科の受診が必要なケースもある。
AC:ご本人は病院に行きますか?
Co:なかなか難しいこともある。でも、そのことについてよく話し合う。受診がない場合にはカウンセリングをお受けしないと言わなくては行けないケースもあるよ。
AC:せっかくACカウンセラーを見つけて来たのに?
Co:私は躊躇しないよ。だって、命を守るのが最優先だから。
AC:・・・なるほど。
Co:家族内で暴力があり住居環境が安全でないケースでは専門機関への通報や一時避難をすぐに検討する。
また、感情の爆発や落ち込みが大きく、自分や他者を傷つけてしまう可能性があるケースでは、一定の鎮静を目的として医療機関への入院を提案する。
でもね。
「夫の暴力は頻繁ではないので、大丈夫です」
「私には医者は必要はない、薬は嫌いなんです」
という対話になることも少なくない。
AC:自分自身が安全かどうか、わからなくなっているということ?
Co:そういう場合もあるね。長い間、たいへんな日々が続いていたとすれば無理もないことだと思う。でもまず、命を守ることを優先する。
ACの力を肯定するセッションでは、はじめに、緊急的な対処が必要かどうかごいっしょに検討し心身の安全の確保を最優先にする。
2021.12