***ACという生きる力 連載エッセイ!

Ⅲ章:ACの力を肯定するセッション 個性化のチケット ac-alive-035

Co:あちこち探してしまった挙げ句、眼の前に探していた物があったという経験はないだろうか?
AC:あー、あわてていたときとか?
Co:うん、そうだね。

「何度も転職を繰り返してきたが、今の仕事も自分に合わない気がする」
「自己啓発セミナーに行くたびに、やるぞ!と思えるが、すぐに興奮が醒めてしまう」
「恋人になりたいんだけど、拒絶してしまう」
「自分のことを話したいんだけど、傷つくのが怖い」
「ワークショップばかり探してしまう」
「あの先生のようになりたいが、斜に構えてしまい、質問ができない」

Co:社会の要請や家族の期待に応えようとしてけんめいに努力してきた。
AC:まじめな良い子ですね
Co:やりすぎるとその代償として?何が起こるんだっけ?
AC:えーと、自分を見失う?
Co:うん。私たちは自分ではない人間になろうとするときに生きづらさを抱えてしまうものだ。私たちは自分以外にはなれない。
AC:は。
Co:また、近代社会では生産効率や成果を優先したきたがその弊害として、人々の姿勢が、健康と病気、合格と不合格、勝者と敗者、成功と失敗というような二元論に偏ってしまうことが挙げられるね。効率的に「成功」しなくてはいけないと! そうしないと?
AC:えーと、幸せになれない?
Co:おー。
AC:(怒)ずっとそう思っていました。
Co:ところで、生産効率や成果を重視するカウンセリングは、成功するための「問題」を解決する、取り除く、解消するようなアプローチをするんだ。
AC:は?
Co:悩みや困難を解消しようとする。
AC:えー、悩みや困難とは解消したほうが良いのでは?
Co:どうして?
AC:えー、だって、。成功するために、その方が楽なのでは?
Co:悩みや困難があったらどうなるの?
AC:なんか、効率悪いし(あっ)、う~ん、かっこ悪いでしょ?
Co:へー、どんな風にかっこ悪いのかな?
AC:何もできない人のような、恥ずかしくて、残念な人のような、、、。
Co:もし、仮にそうだとしたら、そのような自分をどう思うのかな?
AC:・・・かっこ悪い私なんて、生きているのが恥ずかしいし、必要とされない、。
Co:誰に?
AC:えっ?
Co:誰に必要とされないのかなー?
AC:・・・言いたくありません。とにかく誰にも必要とされない、。
Co:だから、見捨てられないように、がんばってきた?
AC:・・・。

社会の要請や家族の期待に応えようとする努力はたいへんなエネルギーを使う。成果を得ることもあるだろう。しかしながら、心理的な代償として、それが自分ではなく他者になろうとする努力であるとすれば「自分」を失い続ける。なんども言うが私たちは他者になることはできない。その努力への歪や抵抗は人間関係の支障や慢性的な身体症状として繰り返しあらわれるかも知れない。

Co:もちろん、悩みや困難を解消することが必要なこともある。
AC:そ、そうですよね?
Co:うん、。表現としての依存症やリストカット、抜毛、指しゃぶり、腰痛、肩こり、うつ症状、不眠症などの神経症症状なんかだね。
AC:あの~、それらはなくてもいいものなのでは?
Co:うん、でも、表現されている力とも言えるんだから、ACの力を肯定するセッションでは、そうした表現症状や悩みや困難に敬意を払い、変化、成長するための機会や材料として、そこにはどんな流れや力が潜んでいるのか、いっしょに見つけていこうとする姿勢を持つんだ。

Co:あなたには、すでに備わっている力があるとすればどんな力があると思う?
AC:・・・力なんてありません、ないからこんなに苦しんできたんです!
Co:どんなことにいちばん悩んだり苦しんできた?
AC:「ずっと生きづらい」
「いつも必死に走っている、気がつくとヘトヘト」
「気がつくと溶岩のような怒りが流れている」
「私が誰なのかわからない!」

Co:う~ん、とても素敵な自覚だね?
AC:は?(怒)
Co:例えば、悩みや苦しみ、身体症状への自覚を深めることとは、「自分になるためのチケット」を得ることなんだろうと思う。他者になるための列車から降りて、自分という列車に乗り換えるための。
AC:え?
Co:だから、チケットを持っている人とは、それ自体が「力」であるだろう。「自分になるための」冒険を楽しむための。
AC:はー?
Co:ユングという先人の「個性化」という概念を発展させている、Aミンデルは、「個性化」とは人格の可能性の全体的実現であると述べている。(引用)
つまり、悩みや困難とは「自分になるための」自然な形での自己治癒の経過の現れではないかと言えるのだ。
AC:・・・私には力があるとおっしゃっているんですか?
Co:うん。これまで、誰よりも悩んだり困難に直面してきた力、そして、それをいま自覚する力。すごいね、よくここまで頑張ってきた。
AC:・・・あの~、私、もしかして褒められてます?
Co:うん。おもいっきり。

 

2022.2.1

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