Ⅲ章:ACの力を肯定するセッション 変化、回復の多様性 ac-alive-031 更新

Co:現代社会では、社会の要請に応えるために都合のわるい部分は排除して考えたり行動したりすることが合理的な良いことであるとされてきた。人間の精神的な成長という視点においても対人関係や感情の課題、ひいては身体症状までも単に排除するべきやっかいなものとしてあつかう傾向にあるね。いったいなんのためなのだろう?
AC:うーん、仕事をするため?
Co:うん、成果の達成、とくに経済活動の成功が唯一幸せに結びついていると学んで信じてきたからだろう。また、スマホやSNS、電子決済などに象徴されるIT技術の飛躍的な向上は私たちの生活をがらっと変えたね。
AC:はい。ちょっと前、スマホがない時代にはどうやって毎日生きていたか思い出せません(笑)
Co:でも、最近、それらを優先させてきたためのデメリットについて考えさせられる事象が少なくないでしょう?例えば、海洋のビニールゴミ、マイクロプラスチックの問題や気候温暖化はもはやまったなしの状態だ。環境活動家の映像やレポートを見ると愕然とする。
AC:できれば見たくないし、考えたくないと思ってしまいます。
Co:海や川や山や森が私たちに送っているメッセージだと言える。
AC:メッセージ?
Co:一面的ではなく、多面的な精神的成長をするためにだろう。
同じように、私たちひとりひとりの多様性を尊重する姿勢がおおきく問われていると言える。大勢とは異なる感じ方や考え方、学び方、成長の仕方などは排除されるものではないだろう。自然界の一部である私たちはそれぞれに違った生きる意義があるだろう?
AC:はい。
Co:誰もが皆同じように合理的で効率的に成長しなくてはいけない、SNSで注目されていないといけない。悩みや身体症状とは、成果達成に合理的ではないし効率的でもないから必要ないものだとしていたら?
AC:うーん。窮屈で不安になります。
Co:うん。人間も自然の一部なのだから、春夏秋冬があるように人の心の発達も季節を巡るのかもしれない。秋には収穫を祝い、じっと大地を眠らせる時期あれば台風がやってくる夏もある。それがどんな順序で起こるのかはわからないが、人それぞれのはずなんだ。
AC:うーん、なるほど。
Co:皆と同じでなくていいいんだ。私たちは他人になろうとする時に苦しむんだ。
ACを肯定するセッションとは、例えば、復職する、学校に行けるようになる、人間関係を良くする、感情をコントロールする、などの狭い意味での変化や回復の枠組みにとらわれないとりくみを目指す。
AC:えー、治さない、ということ?
Co:うん。ACとは愛してほしくて、社会の要請や親の期待に応えようとして、他人になろうとしていると言えるんだ。でも、他人にはなれるはずもないから、その苦しみや症状とは、本当の自分に気がつきはじめているサイン、流れと見ることができるんだ。
誤解を恐れずに言うよ、表面の症状を治すことだけに取り組んで、社会の要請に都合よくなるように援助するということは、社会や親と同じことをすることになる。
AC:親の期待に応えよ、他人のようになれと?
Co:そう。
AC:がーん。
Co:カウンセラーがさらに傷つけることになるかもしれない。
AC:あー、そうか。
Co:もちろん、表面上に表れている不快な症状や生活に支障のあるアディクション行動などは、さっさとセラピー対象にしちゃうけど。
AC:えーと、どういう意味ですか?
Co:例えば、キケンな行動や共依存、依存行動などのメッセージの本質に焦点をあてて意識に浮上させる。誰へのどういったメタファーなのかを検討していく。そうすると、それらはほどほどにしか必要のない行動になる。
AC:えー、治すの? 矛盾しているのでは?
Co:そう、逆説的だ。ひとつの「表現」を無力化させると言った方がいいかな。
ほんとうの自分を知ろうとすることは良い苦しみをともなうから、他人になろうとして、できず、その表現として、症状、身体症状、病気、人言関係トラブルなどという表現手段を使っているのだから、さっさっと、それらは、もうあんまり必要のないものだよーと気づいてしまえば、?
AC:あっ! ほんとうの自分に向き合うことになる?
Co:ふふふ。そう。
AC:あちゃー。
Co:カウンセリングに来て、親や社会の要請に適応するための良い子にならなくていいいんだ。表面上の症状や人間関係のトラブルは、いまたいへんだと思うけど、それはさっさと済ませて、。うすうす感づいている本当のあなたの力を見つけようと。
「ところでほんとうのあなたはどんな人なの?」と。
AC:へー。
Co:引きこもりを持つお母さんに、まあこのお母さんが無自覚なACなのだが、本人への接し方について相談された際に、「もう、息子さんの引きこもりが終わったように会話してくださいね」と指示することがある。
AC:え?どういう意味ですか?
Co:「どうして学校いかないの!」じゃなくて「えらいねー今は自分を守れてるんだねー」と。
AC:は?
Co:本人は、いま学校に行きたくないと言ってるんだ。たぶん、彼にとっては学校はつまらないし危険だから。もしかしたら多様性という視点から見たら、彼の個性の発達とう視点から見たら、また、その時のクラスの集団心理的状態からみたら、さらに担任の先生との人間関係性から見たら、その子の判断はまちがっているとは言えない。
AC:はー。
Co: 毎朝、ハンコでも押すように、「今日もみんな元気にがんばりましょう!」って言われたって、心におおきく気になることがあって元気を出せないときだってあるでしょうに。そう感じられない、そう思えない、自分の肯定できないのは彼にとってはとてもつらいことになるかもしれない。
AC:はーなるほど。
Co:がんばって学校に行きましょうと。「学校に行けないのは彼に問題がある」とする、問題を取り除くアプローチは、大人の都合である一時的な成果達成や評価については役に立つかも知れないが、
彼自身の「生命の流れ」という視点からはどうだろう?
彼は、いま必死に身の安全を守ろうとしているかも知れないだろう。
AC:はーなるほど。彼の気持ちを尊重する?
Co:変化や回復とは親や社会の要請に適応することだけではないだろう。
近年ではそういった視点を私たち大人がどのように受けとめ栄養にできるかを、自然環境や子供たちに問われていると言えるだろう。

Co:だからねー、「お母さん、息子さんは別に問題ないですね〜。」となる。
AC:えええ?
Co:「ところで、お母さん、息子さんは問題ないとして、最近、ご夫婦の関係はいかがでしょうか?」
AC:あっ、いや、あのー、実は、、、。
Co:これでやっと、ほんとうのあなたの課題に入れるんだ。
AC:うぁ〜。

2022.1

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