Ⅲ章:ACの力を肯定するセッション ac-alive-029

ここまで、ACとは家族トラウマに適応し生き延びるために独特なスキルを身に着けている状態である。それは力でもある。でも、大人になったいま、使えるスキルは他にもたくさんあるのに、独特なスキルのみに執着してしまうこと、それがゆえに自分自身の在り方や対人関係、社会との関係に支障を繰り返してしまうと話してきた。

Co:さて、ここまでACという状態や「ACの力」についてセッションをしてきた。
AC:はい、だいぶ面食らってますが、とりあえず治療や回復不能の深刻な病気ではないのかな?と思えてきました。
Co:ここからは、ACを肯定するセッションについて話していこうと思う。
AC:肯定する?
Co:そう。あなたらしさ、あなたの力を見つけて、それがあなたの人生に栄養となるように。
AC:栄養ですか?
Co:あなたの人生を生きる力になるように。
AC:どうやるのですか?
Co:たぶん、カウンセリングというと自分の間違っている部分を治したり取り除いたりしなくてはいけないと思わている方が多いかも知れない。
AC:はい。私のどこかが間違っているのだから反省したり、歪んだものを真っ直ぐに治さないといけない!
Co:うーん。
AC:だから、カウンセリングに行くなんて友達にも言えません。もし、会社の人にバレたら、いよいよやばい人だと引かれた目で見られると思います。
Co:そうかー。
AC:実は、このワークショップも崖から飛び降りるような気持ちで予約したんです。
Co:うん。そうだよね、よく来てくれたね。
海外の映画ではさらっとカウンセラーのオフィスに行くシーンがよく出るけど、日本ではまだまだカウンセリングへの偏見があるのかも知れないね。
AC:カウンセリングにいかなきゃいけないなんてもう、おしまいだ。みたいな。
Co:そ、そんなに(笑)
そのへんは私たち開業カウンセラーはもう少し、えーと、カジュアルに気軽に来室してもらえるような工夫が必要なのだと思う。良いアイデアがあったら教えて欲しい。
AC:駅でチラシをまくとか?
Co:(笑)いいかも。
ところで、もし逆にカウンセラーが、ACとは「生きづらい」「死にたい」と繰り返していて、伝統的な臨床心理学理論におさまらず、医療の薬が効かず、怒ってばかりいるめんどくさいパーソナリティのやっかい者であるという認識を持っているとすれば、、、。

AC:・・・私はそんな風に思ってました。
Co:せっかくカウンセラーを訪ねても、カウンセラーの都合でうまくいかず、来室者はせっかく勇気をだしてドアを叩いたにもかかわらず、傷ついて帰ることになるかもしれないね。
AC:・・・実は何度か、そういった経験をしました。
Co:カウンセラー自身が、勉強したことに固執して、社会にとって都合の良い要請に応えるような狭義のセラピーモデルにとらわれ、人間が誰しも持っている純粋な部分に触れる準備ができてないとすれば、。
AC:え?
Co:偉い先生と、言うことを聞かなければいけない治されるべき患者という関係になる。
AC:ほー。
Co:社会に適応しない不都合な部分は修正しなくてはいけない。他者と同じように幸せにならなくてはいけない。
仕事とは、家族とは、結婚とは、人間関係とはこうでなければいけない。と、。
それは、まるで彼ら彼女らがずっと家族や社会から受けてきた外傷体験を繰り返すことになるだろう。そして、そういった説教をするカウンセラー自身が気持ちよくなる。
AC:なんと。

Co:精神科医の斎藤学によれば、家族トラウマから全く免れている人はおらず、治療が必要かどうかはトラウマの量に関連するが、現代社会にあり誰でも覆う厳しい自己監視システムが背景にある人間関係や恋愛などの悩みと「自分がわからない」「死にたい」という鋭い自己否定とは質的に違うものではない。
<引用文献>斎藤学 自分のために生きていけるということ
AC:家族トラウマは誰にでもあるの?
Co:そう。
AC:もしかして、カウンセラーにも?
Co:そう。そこがいちばん大切なことだと思う。カウンセラー自身が、人間理解について歴史の浅い既存の理論や権威的な概念にとらわれないで、自分自身を探求する姿勢を持つこと。そしてそのおおくは目の前のクライアントさんにしっかりと出会ったときに開かれることなんだ。
AC:クライアントさんと出会ったとき?
Co:そうなんだ。カウンセラーとはクライアントさんに育てられる。とくにACに。
AC:へーー。
Co:カウンセラーとはクライアントさんとの出会いから自分自身の探求がはじまる。
どうして私がACという概念を生きる力だという探求をはじめたのか?
それは、私自身がその力を使うしかもう一歩も生きることができないという体験したのがきっかけだった。ACであるなしにかかわらず、生き延びるために身につけてきた独特なスキルを自覚して行く道のりとは、家族トラウマの残滓や現代社会のストレスに翻弄されずに、残りの人生を創造するために有効な方法なのではないだろうか?
それを、「ACという生きる力」と呼んでもいいのではないか?と。
AC:クライアントさんのACを自覚する道のりは、もしかして、カウンセラーさんの、そのー、自覚の道のりにつながるのですか?
Co:その通り。だから、悩みを排除したり、問題行動を修正することにのみとらわれない。
ACの力を肯定するセッションとは、生きずらさや悩み、症状などは心身と人生が変化成長しようとしているというシグナルと捉えてその意味や流れを探求していくという視点を持つ。
AC:なるほどー。
Co:とはいえ、ACの力を肯定するセッションと言っても、どのよに時間が経過したり、どんなことが起こるのかなどのカウンセリングの進行とはクライアントさんによって全く異なる。
この章では、ACの力を肯定するセッションの時間の経過に起こることの概ねを要約して話していきたいと思う。

2021.11

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