Ⅴ章:自分の専門家になるためのエクササイズ ac-alive-068  ACの体験に市場価値を見出す。

Co:さて、自分の専門家になる冒険もひとつのおわりに近づいている。ここでは、市場価値、お金について話していく。
AC:えー、市場価値とお金!アダルト・チルドレンの回復?に関係あるんですか?なれない言葉だし、すごく苦手な分野です。
Co:私もそうだったし、いまでもそうだ。ただただ毎日を生き延びるのに必死だったからね(笑)おまけに、マーケティングという言葉にも触れていくよ。
AC:うあー、マーケティングって何?ACに関係あるの?
Co:まあまあ、ゆっくりすすめるから、のんびり聞いてくださいね。
「自分の専門家になる」というコンセプトのところで話したけど、
「これまで誰よりも悩んだこと、苦労したことなど、過去であれ現在であれ、問題を経験した人々は、同じような状況に立たされた人々を援助できるような特別な体験、スキルを持っている。」(Morgan,2000小森他訳2003)
というセッションは覚えている?
AC:はい。喘息の男の子の話でしたね。
Co:さて、もし、彼があのまま喘息の子どもたちの相談を続けてキャリアを積んでいったらどういう人になるのだと思う?
AC:・・・彼の体験を生かした素晴らしいカウンセラーになると思います。なんというか、医療者や家族などにも話せない事柄や気持ちを打ち明けられる、誰でもない彼にしかできない喘息専門カウンセラーに。あっ、なんだか涙がでてきました。
Co:そうだね!例えば、彼に話を聞いて欲しい人、彼の体験を聞きたい人、とにかく彼に会いたい人がいるとしたらどんな人なんだろう?
AC:・・・たくさんおられる喘息患者さん、そのご家族ですね。ほんとうにたくさんおられると思います。
Co:うん、その方々にとって彼はどのような役割を担うのだろう?
AC:患者さんの生活や心のケアなどですね。うあー、とても重要な役割ですね。
Co:患者さんやご家族に、希望を与えることができる存在になるのだろうと思う。
AC:素敵なことですね。
Co:医療者が与えられない部分だ。そして、医療者の治療を効果的にすることにつながるだろう。このようなコラボは縦割りの現代の医療においてとても重要な取り組みになるだろう。
AC:あっ!そうしたら、彼は報酬をもらえますね?
Co:その通りだ!彼自身の喘息で苦しんだ体験とは、過去の自分のような喘息患者さんやご家族という市場(対象)にとって、報酬をもらう価値、市場価値があると言えるだろう?
AC:はい!うあー。素晴らしいことです!このような視点は初めて知りました。
Co:私は、30代後半に自身の理不尽な大病に向き合ってから約18年間、自分の体験を生かして、アメリカの高度な医学的治療のリエゾンをする活動をしたんだ。最初は、ボランティアベースだったが途中からはしっかりと自分の仕事としてとりくんだ。
いま、振り返ると、サラリーマン時代は自分の役割りがわからず、仕事に対して、うつうつと欲求不満を感じていたが、その仕事をしてはじめて、自分の体験が必要とされている、自分の存在が必要とされている、自分の価値のようなものに気がつくことができたんだ。何より、過去の自分自身のような患者さんご家族に役に立っていることがとても嬉しくて、なんというか、生きている感じがした。私にとってはこの時の体験が、開業カウンセラーとしての今の仕事のベースになっていると思う。
AC:素敵なお話ですね。
Co:ありがとう。さて、それでは、ミニエクササイズ。ゆっくり自分と対話してノートにメモをとってみてください。

1,これまで誰よりも悩んだこと、苦労したことはなんですか?

2,過去のあなたと同じような状況に立たされている人々がいるとすれば、どんな人たちですか?

3,彼ら彼女らが、希望するサポートがあるとすればどんなものですか?

Co:さて、さてどんな自分に気がつくかな?

2020.12.24

 

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