Ⅵ章:ACという生きる力 ac-alive-071      健全な自己愛を育てる。

Co:彼は幼少期の不幸なトラウマ体験にて大きくそして長期に傷ついてきたのであろう。失ったものを狂おしいほど求め続けてきたのだろう。
AC:はい。とても共感できます。ずっと探し続けたのですね?
Co:自分とは望まれていたのか、すこしでも愛されていたことがあるのか?と。そして、それにともなう心の安心や置所などだろう。もちろん、神経生物学的にも臨床心理学的にも無理もない心の動きであると言える。思春期、青年期へと時間が経過していくに連れ、対人関係や学業や仕事において課題にぶち当たってきたのだろう。自分の存在を揺るがすような困難に直面した時に対処するには、ルーツでの内面体験、例えば、無条件に愛された体験が必要になる。学業や恋愛、仕事で失敗したとしても、
「とても悔しいし悲しいけれど、うーん、まあいいか、。」と思えるだろう。

AC:そうかー。内面にある体験を手がかりにしていまの自分をそのまま受け止められるんですね。健全な自己愛でしたね?
Co:そうだね。
AC:だとすると、急に不安になりましたが、発達段階で、えー、無条件な承認を得ることができなかったり、十分に愛された体験がない人々とは、ずっと自分を受け止められずに苦しみ続けるんですか?
Co:良い質問だね。そのことを書きたくて、今回のロングセッションをしようと思ったんだ。結論から言うと、どの段階、どの年齢からも、そうした自分に気づきを向け続けることで健全な自己愛を育てることが可能だと言えそうなんだ。と、おおくの精神医学、トラウマ治療の専門家、臨床心理学らの先人らが臨床を通して証拠を文献や論文に発表している。それらは、私のような駆け出し臨床家にとってとてもとても勇気を与えてくれる。
AC:えーと、どうやって?
Co:それらへの試みを精神療法、カウンセリング、ワークと呼ぶのかもしれない。ざっくりとフロイトを起源として今日まで約90年ほどの歴史なのだが、現在では、トラウマのセラピーやパーソナリティの変容に関しては、心身を統合的に捉え、治療者とクライアントに起こる関係性を用い、個人セッションと家族療法や集団心理療法を統合するアプローチなどが注目されている。養育者との間で、育むことが難しかった、無条件の承認や親密性などの修復体験にとりくむ試みなんだ。
AC:修復できるものなんですね?ちょっと安心しました。
Co:うん、ケースバイケースだけど。すくなくとも自分の人生を見つけることができるよ。と私は言いたい。もちろん、セラピーに取り組むことなく、例えば、成長の段階で出会う、学校の先生、クラブのコーチ、友人、上司、職場などの人間関係の中で、健全な自己愛を育むことも可能だ。人間との出会いと別れは自己の成長においてとても大切なのだとあらためて気づかされる。
AC:別れもですか?
Co:そうだ。別れるから、新しい出会いがあるのだろう。それには、自分との関係性の別れと出会いも含まれる。生き延びてきた自分であるひとつの側面とはいずれ、別れる時期が来る。
AC:新しい自分と出会うために?
Co:自分とは誰なのか、関わり続けるために。

2021.1.9

 

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