***ACという生きる力 連載エッセイ!

Ⅳ章:「自分の専門家」になる冒険 ac-alive-057 自分の内の他の側面に気づくこと=「癒やし」と「自由」

 

自分の専門家になる冒険は、自分の内にある他の側面に気づくことの連続だ。
自分が思っている自分だけが自分じゃないと気づかされる。そのたびに、おどろいたり、落ち込んだりもするが、同時に癒やされ自由を感じることができる。あーこのままで良いんだ、と。
すこしやっかいなのは、照れること、恥ずかしく感じることだと思う。たぶん、自分のそういう部分を受け入れて、享受する感情に慣れていない。

AC:うーん、どういうこと?
Co:自分自身の内面の力に気づくこと、それを受け取った時に照れる、戸惑う、申し訳ないと感じる、。自分を肯定されたり、褒められることに慣れていない。受け取りべた。
AC:はー。
Co:私の事例だが、身体症状によく気がつくようになる。
AC:えー、しょっちゅう調子悪くなるんですか?
Co:調子悪くなるかもしれない全然手前の感覚に気づくんだ。予感かな。たとえば、
AC:眠れないなーと感じる時。以前なら無理やり眠ろうとしたり、眠れない自分を能力ないと責めたり。
AC:は?
Co:広告会社時代に、できる男はよく眠る。みたいなマッチョな都市伝説に毒されていた(笑)朝から晩まで仕事して、ジム行って、その後、飲みに行って、大騒ぎして、タクシーで帰って、寝てた。あれは、寝てたんではなく倒れていたと言える。だいたい、あんなに一日興奮しっぱなしで寝れるわけないと思う。
AC:バブリー時代ですね。
Co:社会、仕事に適応することは悪いことではないと思うが、飲み込まれていて、自分を失っていたのだろうと思う。いまでは、
眠れないということは、何か気づきを向ける大事なテーマが漂っている、それを身体が教えてくれていると感じることができる。やり方、方向、対処、ずっと、やりたいことをやってない、もしくは、やりたくないことをやっているのではと。
そして、私はそんなにいい人ではないのだ、と気づくことができる。
AC:おー、。
Co:依頼を断ったり、できそうにない約束を見直したり。
AC:カウンセラーがそんなことしていいんですか?
Co:カウンセラーだからこそ、そうできるように在りたい。
AC:え?
Co:カウンセラーが自分を大事にできなかったら、クライアントさんそれを学ぶ機会を奪ってしまうだろう。
AC:なるほど。
Co:眠れなかった翌日、ぼーとした頭で無理やり書きかけの原稿に向かってうんうんと頭をひねったりしないで、明らめて、海にはいったりすることができるようになった。
海に向かう時に、駅にむかう人々、学校に向かう子どもたちとすれ違うんだが、最初は悪いことをしているような気がしていた。私は私自身のケアに時間をつかうという行動にまったく慣れていないことに気がついたよ。
AC:はい、わかります。私もそうでした。カウンセリングの最初の頃、まず、安全の確保から。と何回も言われたのですが、何を言っているの?とさっぱり意味がわかりませんでした。
Co:長年の我慢の習慣、自分を後回しにする習慣で(笑)頭には、自分を大切にすることから人生をはじめるという行動に違和感がある。だから、身体症状の予感、感覚にきづくことはとても大事なんだ。
AC:カウンセラーには、とりあえず、私にだまされたと思ってしないさいと言われましたね。安全の確保を。
Co:あはは。そうだったね。こんなことしていいのか私?と躊躇したでしょ。
心の変容とは主として、対人関係にかかわる意識によって生じる。(斉藤学2017)その対人関係には自分との関係もおおきく係るんだ。
私たちは、困難を感じていても、その古い自分との自我同一性にとらわれる。自分とは「こういう人だ」というひとつの「自分との関係性」から離れることに抵抗して、自我は現状維持に働くんだ。
AC:いまでは、わかります。自分が無自覚に、自分にとって良くない人間関係に自らかかわろうとしていたことを。
たしかに、自分を大事にする行動は、最初は罪悪感のようなものを感じたり、それがうまくいくと照れたり。
Co:どんなときだった?
AC:えー、自分はけっこうがんばってきたんだなーと思い始めた時かな。
Co:うん、そうだね。私も、自分のケアをするようになって、頭がくりあになって、納得いく原稿や詩がかけたりしたときに。うぁーいいのか俺?と照れる。(笑)途中で、万年筆を置いたりして。
AC:もう、男性の世話を焼いたり、大喧嘩したりするのはこりごりと思ってましたが、普通に男性を好きになれる自分に気づいて、。
Co:うん?
AC:うあ、超恥ずかしい!
Co:よかったね~。共依存ではない親密性を育めるね、たぶん(笑)
自分の専門家になる冒険は、いままで知らなかった、自分の中の他の側面に気づくこと=「自由」を体験するということなんだ。

私の師匠2人がにんまりとしている夢を見た。
「もう急がなくていい、十分なんだ、十分体験しろ」と。
こうして私は、いま、自由を感じている。
いま、冒険の途中であるが、私はすでに十分に「自由」で、幸せであると気づいている。
やることはたくさんある。でも、やってもいいし、やらなくてもいい。
いずれにしても、風が吹く。
私は私の身体感覚から生み出されるアートに関心がある。
やっつけなくていいし効率的でなくていいしどこかに達成しなくていいのだ。
自身の違う側面を体験することとは癒やしであると知った。

2020.10.8

 

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