Ⅳ章:「自分の専門家」になる冒険 ac-alive-048s ACの回復を超えて、自分になること。

クライアントの変化と共に私の内面で、彼ら彼女らの望む「回復」とはどのようなものなのかについて探求することへの関心が高まっていった。
この関心は、私自身がどうしてこの仕事を生涯の生業としようとしたのかと問い続ける過程につながっていた。クライアントにとってパーソナリティの変容とは、未知なものに向き合う体験であるがゆえに、それを受け入れる準備が整うまでは、違和感や不安や恐怖として感じられることがある。

「また、元にもどってしまったみたいで怖いです」
「何もやる気がおきません」
「空っぽな感じがして、また、ネットサーフィンばかりしてしまいます」
「久々に消えたい死にたいと思っています」
「トラウマの反応に気づくことができるようになりました。でも、今後、私は残りの人生をどのように生きていけばいいのかわかりません」

例えば、共依存の回復の仕上げは、自分自身の人生のニーズを知ることになるのだが、他者の機嫌をとることにこれまでの人生のほとんどの時間をつかっていたとすれば、自分とは誰?と問いかけをしても、ましてや、自分自身のニーズ?と聞かれても、ほんとうにわからないと思うのも無理もありません。共依存の回復の仕上げには、ゆっくり自分のニーズを育んでいく道のりが必要となります。

「相変わらず不安ですけど、まあいいか、という気分もあります」
「あんなに強迫的にやらねばと思っていた仕事もまあまあでいいかぁと思えています」
「またネットサーフィンをしてしまうけど、途中であきてやめてしまいます」
「消えたい死にたいと思いますが、なんだか、しっかり悲しいです」
「私、こういうときに怖いんだなぁと、だから怒りが爆発してたんだなと思えます」
「どうせこの不安はずっと続くのだし、すっきり解消するものではないんだ。だったら自分の好きなことやってみようかなぁ」

ACのカウンセリング、ワークでは、上記のような言葉や気分を「自分を保護できる自己」の芽生えとして耳を傾け、共に喜びます。そして、次に、この新しい自己の芽生えの物語りを育んでいきます。それは一過性の解決ではなく、時間を味方につけながら生涯を通した行程になるのでしょう。外部に答えを求めて、自分自身を完璧なものに埋めていく作業ではなく、内面を探求し、内にある生き延びてきた力を洗練させていく方向にあります。

過去であれ現在であれ,問題を経験した人々は,同じような状況に立たされた人々を援助できるような特別な知識,スキル,遂行能力,経験を持っている。それは,問題の起こり方,問題の接近の仕方,問題のやり口,さらには,問題との関係の変え方や対抗方法などの智恵や専門技術なのだ。(モーガン、引用)

Co:ACの自覚の道のり、「自分の専門家になる」とは、これまで生き延びてきた力を知恵や専門技術に変容していくためのものであると言えるんだ。
AC:専門技術?
Co:あなたが一番苦しんだり悩んだりしたことは、あなたにそれらに対処するための専門的な技術があると言うことと捉えるんだ。
AC:えー。ただ、必死で生きてきたんだけど。
Co:その必死で生きてきたやり方を専門技術として捉え直してみると、誰かの希望になるかもしれないし、誰かが話しを聞きたいかもしれない。
AC:ほー。もしかして必要とされるってこと?
Co:そうだ。だからACの「回復」とは、自ら生き延びるために身にまとってきた専門技術を見いだし、洗練して、現実人生に接点を見出し、それらを自分と他者や世界に有益に使って生きる姿勢を見つけることなのではないかと思っているんだ。
AC:仕事にするってこと?
Co:うん、それもいいだろうし、今の仕事に変化をもたらすことでいいかもしれないし、何かの活動に参加してみるのもいいだろう。今の生活に喜びが増えるよう味付けするのもいいだろう。、人それぞれ、ACの回復を通して自覚した自分の力を、必要としている人々にシェアしていくといいと思う。
AC:シェア?
Co:うん、。シェアとは分かちあいだ。例えば、あなたの周囲であなたの回復物語りを心から必要としている人とはどんな人?
AC:えーと、あっ。過去の私のような生きづらさを経験をしている人?
Co:そうだね。たぶん、カウンセラーより何よりも、あなたの話を聞きたいと思う。
AC:あっ!
Co:あなたはシェアすることで、そのかわりに、深い共感や感謝を受け取るんだと思う。そうなったとするとどんな気分になるかな?
AC:・・・すごく嬉しい。
Co:そう。
AC:これでいいんだぁ。と、「自分」でいいんだぁと思えるかもしれません。
Co:ふむふむ。

2021.8

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