***ACという生きる力 連載エッセイ!

Ⅳ章:「自分の専門家」になる冒険 ac-alive-047 コンセプト その3

Co:自分の専門性を見つけるには、ひとりでは難しいこともある。そういう時に、自分にとって良いカウンセラーを使うのはとても有効だと思う。
カウンセリングやワークがすすんで、自分の専門性を見つける段階に入ると、こんなことが起こる。
「なんとか共依存に気づいて、抜け出せそうです。でも、そうしたらこころにぽかっと穴があるようで、何をしたら良いかわかりません。」
「・・・そうすると、また、(主人の)お世話焼きをしたくなります。そうしないと、いられないのです。」
「他者にならなくていいのだとわかりました。でも、そうしたら、ずっとひとりなんですか?誰ともつながらないで?」
「また、ゲームはじめちゃいました。これって、もとにもどったってことですか?」

AC:あー、気持ちわかります。何していいのかわからなくなるんですよね?
Co:そうだね、。あらためて、ほんとうに「死にたい」と話される方もおられる。
「自分に何があったのか、それが人生にどんな影響を与えたかもわかったよ。カウンセリングを続けて、トラウマ反応を引き出しに入れたり、出したりすることもできるようになった。なんとか対人関係も築けるようになったよ。で、明石さん、この先、私は生きていて何か楽しいことあるんですか!」

私は彼ら彼女らのこれらの姿勢に感銘を受けた。力をもらった。AC、トラウマとは、解消するだけの課題ではないんだと。彼らのこの姿勢は彼らの力なんだと。自らを自覚して苦難を乗り越えようとする彼らの変化への力は、精神的成長の力と言えるのだろうと。

共依存からの回復して、他者にならなくていいのだとわかる。ただ、自分になればいいのだと。しかしながら、その自分が見あたらない。それに、愕然とする。

AC:回復したのに死にたくなるのはつらいですね。
Co:うん、でも、この段階の「死にたくなる」は、(ほんとうの自分として)生きたい!という強い意志の表れに聞こえるんだ。
だから、自分を育て直す、カウンセリングとグループワークの併用が有効になる。家族のような集団の中で他者や他者を通した自分を理解してしていくんだ。ときには、家族や兄弟姉妹でのあれこれを再現して、。

Co:ここで、「私はわたし」という伝統的なゲシュタルト療法の概念を越えようと取り組んでいるセラピストらの言葉を紹介する。
私はあなたの責任を担わないという自由を発見した後に、一つの自分への執着を打ち破る冒険に差し掛かる。ぽかっと空いた空間、虚無感をどうしたらいいのかわからない!と。例えば、それは、またお世話焼きをしたくなる、共依存関係にもどりたくなる、またお酒を飲みたくなる、また仕事で忙しくしてごまかしたくなる。

Co:そんな時、唱える言葉だ。
「どうずればわたしの存在があなたに益をもたらすのだろうか?」
「どうすればわたしのことをやっているわたしが、あなたのことをやっているあなたに益をもたらすことができるのか?」
<引用文献>リッキー・リビングストン著 吉福伸逸訳1989 聖なる愚か者 ゲシュタルトワークの新地平

自分が自分であることが、それが仕事になるのなら。もしくは、自分が自分であることが自分の幸せをもたらすのなら、自分が自分であることが、他者に貢献できるのなら。

私自身は自分が自分であるために、これまで誰よりも苦闘してきた体験を、「つかう」ことを選んだ。他者にならなくていい、ただ、自分自身であることを探求し続けることだと。
AC:それでどうなったのですか?
Co:気がついたらちょっと変わったカウンセラーになっていた。
AC:へー。(笑)
Co:友人ががらっと変わった。サラリーマン時代の友人とは疎遠になった。昔の私の友だちは、私の変わりっぷりが理解出来ないかもしれない。
AC:寂しくないですか?
Co:新しい友人や仲間ができたよ。私が私であることを見つめてきたら、周囲が変わって、私も変わった。いまでは、人生とはずっとそういう連続なのだろうなと思ってる。

2020.9.22

 

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