ACの力とは?:夢を見る力 ac-alive-025

さて、身体症状に関連して次に夢について話していく。
フロイト先生が、夢とは無意識にある欲望や願望などの象徴なのだと捉えたのが約90年前のことだ。以降、様々な先人が夢について研究している。夢は身体症状と同じように、意志の力が及ばない。だから、ACという生きる力を見つける上でとても興味深いテーマだと思う。
Co:夢は見る?
AC:はい。・・・でも怖い夢ばっかりで嫌んなっちゃうんです。
Co:ぜんぜん意識していない人物が登場したり、体験したことのない場面が出てきたりするね。少々セクシーな夢もあるだろう?
AC:・・はい。

フロイト先生のお弟子さんのユングは、夢には欲望や願望よりもっと多義的な意味や目的があるのではと考えた。
<引用*>
フロイトへのカウンターとしてゲシュタルト・セラピーを創設したパールズは、夢を通して断片化した自己を統合し全体性にむかうものだと主張した
<引用**>
近年では、ユング研究所に学んだ、A,ミンデルは、夢とはなんらかの形で身体の状態について語っているとして「ドリーム・ボディ」という概念を提唱している。「ドリームボディ」とは、自分自身になろうとする力、治療的微細な予感、全体性に向かうサイン、生命の流れ、命のシグナル。それには、夢(夜見ている夢、繰り返し見る夢、怖い夢、セクシーな夢、など)と身体で見ている夢(身体のシグナル、違和感、こり、つかえ、身体症状、不眠症などなどが含まれると述べている。
<引用***>

Co:夢を心理療法の対象とした先人の研究の中で私の好きなアプローチは、「夢とはどんな夢でもその人にとって味方になる」というものだ。
AC:恐ろしい夢でも、その人の味方になるのですか?
Co:そうだ。

夢のワークを話すよ。
幼少のころいつも怖い夢を見ていた。
そのうち、夜になるが恐ろしくて、ふとんにはいってから、怖い夢を見ないようにと当時のヒーロー(ウルトラマンと兄弟たち)に儀式のようになんどもなんども頭の中でお願いをした。
当時私は喘息がひどく、いつ発作がやってくるのかこんどやってきたら自分はどうなってしまうのかと、常におおきな恐怖に覆われていた。
自分の眼の前にある漠然とした無尽蔵の暗闇。「死」がすぐとなりにあるという感覚。

小さな窓から赤茶けて荒廃した土地を何台もの戦車が行進していくのが見える。
あっちに行きたいような気持ちがあるがじっと見ている。
ふと右を向くと窓の枠に霧がただよっている。やがて、目鼻が見えはじめ誰かの顔になる。
ずっと戦争と死に挟まていて恐ろしかった。
見る度に忘れようと努めていた。
カウンセラーになってから自分の夢についてワークをすることが増えた。
霧の中にただよっているのは悪魔か死神だと思っていたがワークし続けると、それは、私に親密な笑顔を見せていたと知った。
人生の前半を幾度も壊滅的な状況を過ごしてきた。
振り返ると、他者の争いに巻き込まれることと自分の死に挟まれて生きてきたが、恐怖の対象であった死の力が、私の命の流れを見守っていたと知った。

AC:ちょっと説明してもらっていいですか?
Co:夢のワークとはとても個人的体験的なものなので説明し難いのだが、。
彼は、戦車の行進ー他者の争いーに参加しなくては生きてはいけないのではないかと感じていいた。一方、彼はずっと「死」を身近に感じていた。「死」は恐怖だけではないと受けとっていた。だから、これまで生き延びてこれたのだと思う。
私たちは、傷ついた部分や解消されていない部分が由来する痛みや苦しさや、気まずさなどを無意識の領域に投げ込んでしまう。
AC:抑圧ですね。
Co:そうだ。でも、その部分には大事な力も宿っている。投げ込んでばかりでは、自分の力の一部分で生きることになり、不自由さや生きづらさを感じるかもしれない。
夢は無意識の領域から何かを知らせてくれるシグナルとしてとりくむことができるんだ。
AC:風邪を引いたときに、あーこのごろ休んでなかったし少し仕事をお休みするサインかなーととらえることと似ていますね?
Co:そうだね。身体症状や病気を受け入れることで、正気になれる(笑)
夢を見る力とは本来の自分自身に向かう力であると言える。

<参考文献>
山中康裕著:心理学対決フロイトVSユング,ナツメ社,2010.
F,パールズ著:倉戸ヨシヤ監訳,ゲシュタルト療法–その理論と実際–,ナカニシヤ出版,1990.
アーノルド・ミンデル著:高岡よし子他訳,ドリームボデイ・ワーク,春秋社,1994.

2020.8.11

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