Ⅲ章:ACの力を肯定するセッション 関係性、自己の育て直し ac-alive-034

家族という複数の親密な関係の人々との関係で、感情や身体感覚を閉じ込めてしまったことについて話してきた。ところで、
友人たちとのグループ、学校のクラス、会社などでは、あなたにどのようなパターンが起こっていたと気がついているだろうか?
クライアントさんから次のような相談を受けることがよくある。

「集団が苦手なんです」
「女子のグループにいるのが嫌!」(女子)
「会社ではいつでも一番困難を引き受けてしまう。気がつくと倒れている」
「あの人(上司、同僚、部下)が私のことを嫌っている! だから、会社には行きたくないのです。」
「家に帰ってくるとぐったりと疲れて寝込んでしまうのです」
「どこにも居場所がない」
「グループにつながりたいけど、入れない」
「誘いを断れない」
「とても仲の良い仲間だと思っていたのに裏切られた気分です」
「同僚にものすごく腹が立っています」
「同性の上司に嫉妬されていて気持ち悪い」
「面倒をみている部下がわたしを攻撃してくるのです」
「大好きなサークルなんですけど、あそこにいるとそわそわして落ち着かない」
「利用者さんを心配しすぎてしまう」
「職場に行くとそわそわ落ち着かない、助けてあげなくてはいけないと思ってしまうのです」

AC:私、ほとんど全部あてはまります。
Co:無理も無いよ。対人関係には家族という複数のメンバーとの関係性が影響するからね。
AC:えーと、例えば、母との関係だけではなくて?
Co:そうだ。仮に、母との関係が不健全な状態であったとすると、その時に父という人がどのような役割をとっていたのか、兄弟姉妹がどのような役割を担っていたかなど複雑な家族間のシステムが影響する。
アーヴィン・D・ヤーロム他(1991 )は、対人関係にともなう仕事や生活やへの支障とは、親や養育者との不適切な対人関係の歪からつくられたものだから、複数の人々の織りなすグループ内での相互作用がセラピーには重要であると言っている。引用 15)

AC:どういう意味ですか?
Co:家族関係で学んでしまった歪んだ対人関係を修正するようなセラピーが有効だと言っている。
AC:あー、家族療法?
Co:うん、ACを肯定するセッションは家族療法の視点に加えて、トラウマ反応に治療的に対処する精神力動的カウンセリングと心身を相関的に捉えるグループワーク(集団心理療法)を併用した枠組みが重要なんだ。
AC:グループワーク?
Co:10人ぐらいのグループでセラピーをするやり方だ。
グループワークが3年目のクライアントさんたちの感想から考えてみよう。
「グループワークには最初すごい抵抗がありました」
「その場にいることに緊張しました。自分の隠している部分がバレるんじゃないかと」
「みんなに非難されるんじゃないかと」
「誰かのワークを見ている時に、自分のことを言われているようで怒りが湧きました」
「グループワークのメンバーにも猛烈に腹が立つこともありました」

「でも、そのうちに、自分がとてもあったかく共感されている感じがして」
「誰かのワークを見ているだけで自然に涙がでてきて」
「いまでは、参加しているとどんどんつながりに癒やされていきます」
「自分だけの苦しみだと思っていたことが、あの人にもあることがわかって」
「あの人の体験は私の体験でもあることに気がついて」
「ワークが終わって家に帰ると、またすぐにあの親密な場に触れたくなる」
「最近では、職場で嫌なことがあったりすると、ワークでのみなさんのお顔が浮かんできて、あー、まあいっかと思えるようになってきました」
「あんなにカウンセラーが嫌いだったのに、いまでは、私もカウンセラーになってみようと思っています」
「この先、もう誰も愛せないと思っていたけど、いまでは大切な人と親密な関係をやり直したい気持ちになっています」
「自分でもおどろいているんですけど、子どもが欲しくなっている自分に気がついています。まったく関心がなかったのに」
「彼への怒りの爆発がなくなりました。・・・でも、ひとりでは、とうていひとりでは嵐を通り過ぎることはできなかったと思います」

グループワークでは、参加者同士の言語・非言語の相互情緒交流を通して、家族内で飲み込んできた感情やこころの自然な動きを安全に修正していくんだ。そうすることで、他者やグループ(家族)との関係性を育て直し、自己を育てそれを関係内(グループ)で分かち合う体験を重ねていくんだ。

AC:関係性を育て直し、自己を育て直す?
Co:そう。グループとの関係性を通して、あなたとあなたとの関係性を育てなおす。
AC:は?
Co:あなたはどんな自分を自分と思っていた? もしかして、家族トラウマに翻弄される犠牲者な自分を唯一な自分と思ってたでしょ?
私たちは、自分が思っていた自分以外の自分を体験した時に癒やしや変化、セラピーが起こるんだ。それは、親密な他者との関係性を修正することで体験することができるんだ。
AC:うーん、他者を通して自分を見なおすってこと?
Co:うん。自分との関係性を見直すと他者との関係性が変わるんだ。
AC:はあ。
Co:まあ、とても体験的なセラピーだから言葉にして説明するのはなかなか難しいけれど、なかなかの大仕事なんだ。
他者との関係性の中で新しい自己を見つけたり情緒を育む仕事は、本を読んて知識を詰め込んでいく脳ではなく、本能的な脳(扁桃体、脳幹、海馬のあたり)を育て直すことだと言える。だから、初期家族関係の影響を修正するように安全なグループで繰り返し反復的にあつかう時間が必要である。まるで、新しい言語を学んでいくように。
自分の内面の世界を情緒的にグループで分かち合ったり、受容されたりする機会を通して子ども時代に感情に根付いてしまった認知を修正していくんだ。

2020.8.25

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