***ACという生きる力 連載エッセイ!

Ⅲ章:ACの力を肯定するセッション ac-alive-038 恥、罪悪感を肯定する 

Co:無意識なトラウマ反応とは、養育環境で過干渉や無関心に対応するアプリをダウンロードしたかもしれない。例えば、良い子でいなくてはいけないアプリ。
AC:アプリはわかりやすいですね。
Co:でも、良い子だけではいられるはずもないね。そんなときに、アプリ通りできない自分を責め、罪悪感を持つのかも知れない。
AC:例の、私はだめだ。生きてる価値がない。愛されない。死にたい。消えたい。ですね?
Co:そうだね。アプリが作動していて、自己を失う。
AC:消去できないんですか?
Co:まず、どんなアプリをダウンロードしてしているのかを見つけなくてはいけない。それはカウンセラーと共にする仕事だ。アプリを見つけて、現在の自分に必要なものに変容させる。それをカウンセリング、ワークと言うんだ。
AC:へー。そうだったんですか?
Co:でもね、カウンセリングがすすんでいくと、アプリを手放すのを「恥」と感じることがある。あるいは、怒り。
AC:うーん、わかるようなわからないような。
他人の目(例えば、母像アプリ)を通して自分を見る、他己評価という行動パターンが長い間続いていたのだから、カウンセリングがすすんで、新たな自己、ほんらいの自分を育てていくと、自己評価に混乱するんだ。無理も無いよ。ACの特徴と言える。ここをカウンセラーと共に通過することは、カウンセリングにおいて最初のいちばん大切な時間となる。
AC:へー初めて知りました。
Co:カウンセラーはあまりこういう経過を説明しない。こういった会話をクライアントさんとするためには、カウンセラーは自分自身をしっかりとをモニターしている必要がある。さらに、クライアントさんとの間に、セラピー関係に加えて、人間関係という信頼関係を創る必要があるからだ。このことはカウンセラーにとって自覚をともなった修練が必要なんだ。
AC:なんだかよくわかりません。
Co:うん、このへんは後で、自分にあったカウンセラーを見つけるには、のところで話すよ。
さて、恥や罪悪感とは、自分を育て直すときに体験することもあると話した。
私たちは、養育者から、母から、父から、愛されたい、関心がほしい、認められたいという原初的な承認欲求を持っている。個体が生き延びるために自然な必要性だ。
しかし、母像アプリが作動して、機嫌悪そうな母を気遣って言葉や気持ちをふさいだり、期待に添えるように泣かない、がんばる、頼らない、なんでもない、たいしたことないと自分の気持ちを後回しにしてきた。気持をスリカエて、倒れるまで働いて。倒れるまで恋人の面倒をみて。
それらは、スリカエられた充足のため、どれだけやっても欲求は満たされることはなく貪欲なものとなる。身体症状、病気になるまで悪循環を繰り返すかもしれない。
AC:もうだめだーと病院に行きお薬がでると少しほっとするんですが、。
Co:もちろんそういう対処が必要なときもある。
カウンセリング、ワークがすすんで、
「あれ?ひょっとして、私は愛されたいのか?」
「関心がほしいのか?」
「認められたいのか?」と気づいてきたら、
そうとうびっくりするだろう、最初は受け入れられないだろう。
AC:・・・私、まだ、そう思いたくないです。
Co:いまの自分の存在を否定されたように感じるだろう。
AC:・・・。
Co:愛されたい、関心がほしい、認められたいという原初的な承認欲求を感じてしまうと、負け、恥、いけないこと、許されないこと、罪悪感、など強い陰性の感情・認知がわくのは無理もない。
ケースによっては、「死」の感覚をともなうことがある。肉体的な死ではなく、これまでの自我同一性の死、アイデンティティの死だ。
AC:怖いです。
Co:そうだな、無理もない。これまでの戦闘状態の死なんだ。戦闘服を脱いで、機銃を肩から下ろすのだ。まるで、生まれたばかりの無力に感じるかも知れない。
でも、この死は、再生につながる。新たな自分の。
この期間は、ひとりではたいへんだ。信頼できるカウンセラーや先ゆく人々が居るグループとともに時間を過ごすんだ。傷ついている自己愛と背景を特定し、新たな健康的な自己愛を肯定し育て直していくために。

2020.8.30

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