Co:ここで一旦休憩だ。「ACの生きる力」についてあれこれ話してきた。どうでしたか?
AC:ぼーっとしてます。
Co:あはは、無理もない。夢を見てるのかも(笑)ちょっとしたワークをしたからね。
AC:疑問があります。
Co:うん。
AC:いったい、その、自分にとって良いカウンセラーってどこにいるんですか?(怒)
だいたい、情報が多すぎてどうやって探したらいいかわからないんです。
どういう基準で選べばいいんですか?
Co:うーん。その疑問は、ほんとうにそのとおりだ。そういう大切な質問にしっかりと答えているカウンセラーは少ないかも知れない。
また、日本においては、まだまだ、カウンセリングへの敷居がたかかったり偏見があるかもしれません。保険の問題もあるね。
ACの力を肯定するカウンセリングとは、変化のプロセスを享受していくことにあります。回復しなければいけない、治らなければいけないというところに目標を定めると、二元論にはまってしまいます。回復しない私はだめな私、治っていない私は、まだまだなのだと、家族関係の犠牲者というアィディンティにとどまってしまうことになります。
カウンセラーという治療者と、治らないクライアントという共犯関係が続いてしまうこともあります。
ここでは、私自身が自分のカウンセラーを選ぶ際の事例として話してみる。参考にしていただければ幸いに思う。
Co:まずはじめに、あなたを褒めてくれるカウンセラーが大事だと思う。
AC:ええ?カウンセラーって褒めてくれるんですか?
Co:あなたの悩み、問題、症状などはあなたの力の一部なんだ。ここまでよく生き延びてきたね。と肯定してくれるカウンセラーを見つけてほしい。
もちろん、肯定するということは、はんたいに言うと、あなたがあなたを傷つける行動などをしっかりと指摘してくれるということだ。
学校や会社に馴染めれば健康だとはかぎらない。お金持ちが成功だとは限らない。あなたであること、その上で他者や社会とどのように生きていくかだと思う。失敗はいくらでもすればいいと思う。
AC:なんとか療法の有名な先生とか、なんとか療法が効くとか探しちゃうけど?
Co:人間理解の理論的基盤はひとつやふたつではない。フロイトの仕事をひとつの起点だとするとまだ90年足らずだ。その間に、おおくの先人、研究者、臨床家が紡いできた仕事を私たちは学ぶことができる。これが唯一のセラピー理論や手法だというものない。もし、あると言う人がいるとすれば、それは、その人がそれを試したいか普及させたいだけかもしれない。
カウンセラーはクライアントが持ち込んできた問題をいっしょに検討することができる。その際に、先人の仕事を紐解くクライアントのために。カウンセラー自身の探求のために。
AC:クライアントのために?
Co:そして、カウンセラー自身のために。
臨床心理学もカウンセラーも発展途上のひとりの人間の側面。そのことを自覚しないと、クライアントを上から見て説教をしたり、
「それはあなたの(行動、考えなど)問題なのだ」とレッテルを貼り付けたり、
「私は◯◯◯セラピーの資格を持っている、それが効かないのはあなたがわるいからだ」とクライアントを傷つけ、自己防衛するかもしれない。おおくは非言語で。
AC:うーん、具体的にどうしたらいいのかわかりません。
Co:そうだね。私の提案は実際にカウンセラーに質問をしてみると良いと思う。
AC:えー、カウンセラーに質問していいんですか?
Co:えー、どんどんしていいんだよ。
AC:なんて?
Co:例えば、「○○○にはどのようにカウンセリングをすすめていかれるのですか?」
AC:えー、そんなこと答えてくれるんですか?
Co:このやり取り自体がカウンセリングの準備としてとても大切なんだ。もし、ごまかされたり、そらされたりしたら、どう感じる?
AC:そりゃ、嫌です。
Co:そうなんだ、いま、こう思っている(仮説している)、また、もう少し内容を聞いてから答えたい、もしくは、いま、まったくわかりません。
とか、答えてもらった方がいいでしょう?
AC:はい。そのほうが、信頼できる感じがします。
Co:さて、質問ついでにもう少し、カウンセラーへの質問。
「◯◯さんは、ご自身のカウンセリング、SVを受けていますか?」
AC:えーーーー、そんなこと聞いていいんですか?
Co:私はいいと思う。中には個人情報だからと答えない人もいるかもしれないが。
カウンセラーとは、客観的に自分自身をモニターすること、自分に何が起こっているのかを探索することが大事な仕事なんだ。自身のカウンセリング、SVを受けることは仕事としてとても大切なことなんだ。
詳細は別にして、どういったカウンセリングを受けているとか、○○○についてトレーニングを続けている、とか、論文をまとめるためにSVを受けているとか。
AC:はー、もしそういう会話ができたら、なんか、カウンセラーというより人間として信用できるというか、、。
Co:次の質問は、特に開業されているカウンセラーに聞くと良い質問。
「私の◯◯◯はどのように経過するのですか?スケジュールや料金を教えてください。」
AC:えええええー。そんなこと聞いていいんですか?
Co:これは、大事でしょ。お金を払うんだから。
例えば、数回のお見合い面接を経て、クライアントと共にセラピーのゴールを設定
回数や料金を決定する。カウンセラーにとって、「治療構造」という大切な概念なんだ。それから、中心となる心理療法基盤や技法についても話しあうこともある。これは、段階を経て常に適切に更新されるものだ。
AC:クライアントもセラピーに参加するんですね。
Co:そうだ、共同作業というんだ。
AC:へー、なんか、カウンセリングについて、意識がかわったかも。アドバイスをもらって良い方法を勉強していくのだと思ってたかも。
Co:う~ん。最後に、カウンセラーと人間関係を持てるかどうかについてだ。
カウンセリングの進み具合で、カウンセラーが自分にとってとても脅威に感じる期間があるんだ。
AC:えー、カウンセラーって安全じゃなきゃいけないんじゃないんですか?
Co:そうだ。悩みや困難は、クライアントの現状の自己同一性であるわけだから、変化、変容、治療、回復がすすみそうになると、脅威に感じることは自然なことなんだ。
AC:あっそうか。変化するってことだもんね。
Co:だから、カウンセリングに行きたくない、カウンセラーが怖い、文句を言いたい、もしくは、怒りが湧くなどなどはとても良い進行ぐあいだってことだ。
AC:まじですか。
Co:その期間をともに経過するには、カウンセラーとの人間関係が重要だ。例えば、クライアントが怒りを感じないようにカウンセラーが制御したり、文句を言わせなくしたり、権威的に説教したり(笑)するのはクライアントの自然なプロセスをとどめてしまうことになる。
AC:なるほど。
Co:だから、このカウンセラーとは人間関係を持てるかなとチューニングするために、クライアントはどんどん質問をしていんだ。
2020.9.10