小男の運転するクルマは都心に近づき、見覚えの有るビルや地下鉄の入り口が見えた。小男は運転もうまかったが道を良く知っていた。右折ラインに入る車線どりやタイミン…
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オンライン小説『リバウンド』rebound-064 患者は敵。
「君はだれのおかげで食えていると思っているんだ?」カワムラは理事長室で電話を耳にあてていた。「だれのおかげでその椅子に座っていられるのだ?」電話の主が続けた…

オンライン小説『リバウンド』rebound-063 芽が突き破る。
「ええまだですわ」小男が携帯に言った。大男はおもしろくないといった顔でぼくをにらみ、サイレンサーでぼくのあごを小突いた。拳銃はテレビや映画で見るより小さくそ…

オンライン小説『リバウンド』rebound-062 損得勘定に矢を放つ…
ネットカフェと夜行列車をのりついで早朝の都内に入った。ホームに降り立つと乾いた下水のにおいがした。あちこちでエアコンの室外機が唸っている。ダウンを脇に抱えて混雑…

オンライン小説『リバウンド』rebound-061 ぜんぶほんとうだ。…
夜更けにターミナル駅に降りた。現世の人々がそれぞれどこかに急いでいる。駅を出ると、雪は降っていないが路面が凍りついていた。ゲンがお客さんの忘れ物だと言って着…

オンライン小説『リバウンド』rebound-060 ぼくはぼくの問題へ…
小さな駅の待合室で遅い時間ののぼり電車を待つ客はぼくと腰の曲がった老婆がひとりだけだった。老婆は温泉地で何かを売る商売をしていたのだろう。大きな背負子が見え…

オンライン小説『リバウンド』rebound-059 763人の事実。
陽が落ちてから屋根裏部屋を降りた。厨房を通って勝手口から外に出る。見上げると山小屋の窓の明かりが見えた。宿泊客の笑い声やコップや皿がかちゃかちゃと擦れ合う音…

オンライン小説『リバウンド』rebound-058 反撃することにした…
前線は噴煙と怒号で混乱している。部隊は壊滅的だ。森の傾斜の中にうずくまってその様子を眺めた。上司に忠実であるということは死ぬと言うことなのだが、その上司はと…

オンライン小説『リバウンド』rebound-057 ずっと父親を憎んで…
なんどか途中で失敗しながら、すべてのディレクトリをダウンロードした。3時間かかった。ぼくは自分のリバウンドの写真は撮っていない。ひどすぎてしゃれにもならなく…

オンライン小説『リバウンド』rebound-056 息子のカルテ。
目が覚めると屋根裏部屋は暗かった。階下からお客さんの声が聞こえる。暖炉の前で宴会がはじまっているのだろう。スカイプでリタを呼んだ。「ずっとピッチ繋がらな…

オンライン小説『リバウンド』rebound-055 屋根裏部屋からスカ…
「大丈夫?」ビサが言った。「なんとか」「どこにいるの?」「今は言えない。言うとこっちの人に迷惑をかけるよ。そっちはどう?」「あなたのニュースはも…

オンライン小説『リバウンド』rebound-054 強烈な怒りに満ちて…
目をあけると母親がいた。派手なブラウスを着てせわしなく動いている。左腕に点滴がつながっていた。ビニールの容器の中にしずくがたれているのが見える。頭がぼーっと…