***ACという生きる力 連載エッセイ!

Ⅲ章:ACの力を肯定するセッション ac-alive-041 感情は心と体を結びつける。

感情(Feeling)は単なる考えや信念とは違い、体が関与しているために知的活動以上のものでり、身体活動とその知覚という2つの要素から成り立っている。それゆえ、感情は心と体を一つにし、意識を身体活動と結びつける力とみることができる。
Lowenによれば、その人の人生経験が身体構造を作り上げ、その身体構造が今度はパーソナリティを形成していく、そのようにして過去の体験が現在において生き続けることになる。
だから、過去の束縛から自由になるには、私たちはまず最初にこれらの拘束の源になった経験を自覚しなければならない。(Alexander Lowen 1994 村西詔司・国永史子訳 からだのスピリチュアリティ 春秋社)

Co:感情の力のところで、感情とは身体感覚でもあると話したね?
AC:はい、。怒りでさえも。
Co:長い間、感じないようにしてきた、ほんとうの自分の感情や身体感覚を大人になったいま、体験することは恐ろしいと感じるのも無理もないだろう。
AC:はい。だから、感じそうになるシーンで、心と身体をバラバラに切り離してしまうんですね。
Co:なんでだっけ?
AC:あっ、生き延びるために。
Co:そう。生き延びるために、身体を解離させて防衛するんだ。
AC:はー、しんどい。
Co:そう。生き延びるために、身体感覚や感情を感じないように分離させなくてはいけない。トラウマ反応、後遺症と呼んでもいいね。ほんらいは、自然な流れの浮上であるはずの感情を体験することにおおきく傷ついているためだ。
だからACを肯定するセッションでは、感情、身体感覚を良いもの、悪いもの(ネガティブなもの)と判断することはしない。どのような感情でも、ていねいに敬意を持ってあつかうんだ。
AC:ほー、。
Co:そうすることでクライアントさんの無意識は、あー、クライアントさんの身体感覚は、安心や安全を体験する機会を開いていく。あー堰を切ったように、これまで誰にも話されることのなかった苦闘の物語を語りだす。
AC:はい、やっと、聞いてもらえる場所なんだと思ったかもしれません。
Co:でも、カウンセラーとは、その機関銃の乱射のような言葉を全部は聞いていないんだ。
AC:えーどういうことですか(怒)
Co:いや、ごめん。もちろんちゃんと聞いているんだけれど。治療的にプロの聞き方をしているんだ。
AC:プロの聞き方?
Co:そう、機関銃トークは、クライアントの内面や対人関係に起こっていることでとても大事なんだが、それらはクライアント自身の心と身体をバラバラにする役目を担っていることがあるんだ。
だから、セッション中には、そのバラバラになる感覚に気づいてもらったりする。
AC:はあー。
Co:機関銃トークをしっかり聞きながらも、そのコンテンツより、話されているプロセス、感情の推移、身体感覚について焦点をあてているんだ。
AC:へー。だから、時々、「いま、どんな気分ですか?」とか聞くんですね?
Co:そう。心の動きと感情、身体感覚が結びつく体験を促しているときだね。
AC:それって、もしかして、自分のトラウマ体験に差し掛かって苦しくなったりするのでは?
Co:おっ!よく気がついたねー。
彼や彼女らにとって、その感情体験、苦しさや違和感は、これまで排除したり否認したりしてきたものだけど。その中にはあなたの喜びや生き生きとした力も含まれていると仮定しているんだ。
AC:う〜ん。
Co:なので、入り口では、苦しさと感じるかもしれないが、カウンセラーと共にその体験経過、プロセスを排除せずにていねいにていねいにあつかうと、。たとえば、怒りの背後にある親密な他者に強く理解や愛情を希求する気持ちと身体感覚を体験することができるかもしれないんだ。
AC:ふー。(ため息)

2020.9

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