G研 統合的グループワーク研究会

明石郁生グループワーク研究2016

2016年は、グループワーク1DAYを16回、2DAYSを3回、3DAYSを2回行いました。ご参加いただいたみなさまに心から感謝を申し上げます。(^^ゞ
個人セッションとグループワークを併用した体験的セラピーの試みを研究実践して6年ほどになりました。これまで展望論文を2つ書きました。また、今年は、関係性のアディクション(自分との関係性)へのアプローチとして日本嗜癖行動学会にて演題発表をさせていただきました。こちらについては、1月から執筆をはじめて秋頃には投稿したいと思っています。

ここでは、12月10日(土)鎌倉グループワークのケースを振り返り、検討をしたいと思います。


場所:鎌倉芸術館 和室
参加者:12名

ファシリテーターの中でのテーマは、「見捨てられ不安と、飲み込まれる恐怖」を関係性をつかってとりあつかうというものでした。毎回、テーマは最初に設定するものの、グループワークでは参加者同士の力動を大切にしますので、「場」でおこる文脈にそって即興的なテーマに変化をしていきます。

12月10日のワークを時間軸で振り返り、どのようにワークが進行したのかを検討してみます。テキストではなかなか表現するのは難しいのですが。

 

10:00 シェア〜ウオーミングアップ この回では、場をリラックスさせることと、自身の身体感覚の自覚を促すようにミニ・フェルデンクライスメソッドをとりあつかいペアでのエクササイズ

11:00 自己愛ペアワーク 吉福さんワークをカジュアルに実践し、健全な自己愛に繋がる体験

11:40 個人ワーク1 ゲシュタルト・セラピーのメソッドを使い、アーノルド・ミンデルの理論基盤 X:+u: 「見捨てられ不安と、飲み込まれる恐怖」

12:50〜13:50 ランチ休憩

14:00 気づきのレッスン あなたは、いま、何に気がついていますか?
肩の拮抗ペアワーク 吉福さんワーク 自身の力と感情に気づく

14:30 個人ワーク2 プロセスワーク:動作のワーク ミニスーフィーダンス 認知と感情のリフレーム

15:00 個人ワーク3 自分との関係性ワーク 褒めるシャワー 体感で繋がる プロセスワーク、チャンネルの切替、拮抗

15:50 個人ワーク4 自分との関係性ワーク 複数のサブパーソナリティとの対話 プロセスワーク、チャンネルの切替〜人間関係、世界との関係

16:50 シェア〜終了

 

ミニ考察:

私は、先人の尽力で概念化され、再考されているアダルト・チルドレンという概念を肯定的に枠組みにとしてつかっています。そのため、生きづらさを持っていたり、家族トラウマの影響や、自己や自尊心の回復が治療的目標になることが多い。今回のワークも結果的に、「見捨てられ不安と、飲み込まれる恐怖」に極端に揺れる、感情と認知の修正体験に焦点をあてることにつながっている。

グループワークとは、参加者の体験を尊重し、Thと参加者同士の情緒、言語・非言語相互交流をとりあつかい、自己理解や他者理解を促す機会

 


トランス・パーソナル心理学理論と吉福伸逸さんによれば、セラピーの現場を3つの角度から見ることができる。

コンテキスト(context):場、文脈、背景、環境など、Thの世界観、人間感が大きく影響する

プロセス(process):その人が本来持っている、治癒的な経過、叡智の発動

コンテンツ(contents):内容、参加者がそれぞれのプロセスの結果として埋めるもの

 

セラピストとして、コンテキストはとても大切なもの。また、唯一セラピストが関われるものと学んできました。でも、知識のみで得られるものではなく、また、技法のトレーニングだけ得られるものでもないでしょう。セラピストが自分自身に向き合い、探求を続けることで身につくものなのだと体験してきました。

・・・もっとも理想的なセラピストとは、役割としてのセラピストをやってないひとです。その人の存在そのものや生き様が提示されているセラピーが理想とされる。そして、ある局面から、参加者とともに成長するというか、ある種、同行者のようになっていく
(吉福伸逸 トランスパーソナル・セラピー入門 平河出版)

 

私は、開業して7年間、クライアントさん、グループワークの参加者さんからすべて学んできたと断言できます。そして、自分自身のワークに多くの時間を使い、「自覚」をすすめてきました。「私とは誰なんだ?」と。

それを知りたいので、私はいくつかの理論基盤の心理療法を学び、グループワークを続けているといえます。

そのことが、クライアントさん、参加者さんのプロセスに参加できたとすれば、開業しているプロのセラピストとして、これ以上の喜びはないです。

 

 

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