Ⅳ章:「自分の専門家」になる冒険 ac-alive-060 生き延びるために使ってきた「意志の力」を手放すとは?

自分の専門家になる冒険に、いつ出発したのか?と振り返る。
大病を克服した頃か、40代で大学院入った頃か、もしくは、自分が誰かわからなくて右往左往していた小さい頃にすでに出発していたのだろうか。

いずれにしても、ずっと自分を見つける冒険であったことに変わりはないだろう。
このコンセプトを能動的に使い始めはじめてから10数年経つ。
いま、56歳の秋を迎えている。海が近くて松林がある場所に住んでいる。小学校低学年の頃に居た施設に似ていると20年前に引っ越した後で気がついた。

控えめに言って、あの頃まったく想像もしていなかったような自分になっていることに気がついている。もし、あの忌まわしい理不尽な大病がなかったら、いまごろどこかの会社で部長さんにでもなってもう少し安定した生活をおくれていたのだろうかと思うこともある。

AC:他人にはなれないんでしょう?
Co:そうだ。言ってくれてありがとう、時々ちょっと言ってみたくなるんだ。
もし、ACというコンセプトを知らずに、共依存を炸裂させていたらどんな自分になっていて、どんな人間関係の人生にいただろうか。それなりに、うまくやっていたような気もするし、恐ろしくて背筋がぞっとする気もしている。
AC:自分の専門家になったのですか?
Co:うーん。もう、いまの仕事や生活以外の自分でいることはできない。
AC:満足しているということ?
Co:いや、満足とは程遠い感覚だ。他者の評価がどうであれ、私が私であるためにできることをしているし、それで得られるものを享受しようと努めている。
AC:共依存や仕事依存は、えー、治ったのですか?
Co:いや、ときどき、こんつめて学会なんかのプレゼンテーションの準備をしてしまって不眠が続いたり、クライントさんを心配しすぎて自分の見失ってしまうこともある。
AC:あらあら。そういうときはどうするんですか?
Co:うーん、そういう自分に気がついて自覚に意識を向けることができる。そうすると、懐かしい感覚を味わえる。あー、また、やっちゃってるなーと。
AC:へー。
Co:私の場合は、だいたいが気分や身体感覚が教えてくれると気がついている。
生き延びるために意志の力、現状に抗う力をずっと使い続けてきたのだと自覚している。だから、仕事を詰め込みすぎたり、なんだか眠れない夜が続くな〜と感じているときは、意志の力を使いすぎているなと知ることができる。「気づき」ではなく「力」に頼っている状態なんだと。
A.ミンデルは、「感情、身体」をないがしろにして、何かをしようとするとき、「不安感」が浮上するのだと言っている。<引用>

AC:へー、そうなんですか?
Co:たとえば、不安を「意志の力」でなんとかしようとする試みは、不安を受け取らず、まだ大丈夫だ、と否認する、なかったことにする。はんたいに、仕事をたくさん詰め込んでだりと自分を大きく見せる、自分に何ができるかを証明するように行動する、交感神経を上げっぱなしにして行動をするだろう。
AC:不安を受け取らずにスリカエるんですね?
Co:うん。自然な流れ、命の流れである、不安や身体の疲れなどを無視し、限定された自分(意志の力でできる)に固着すると、対人関係のトラブル(自分との関係を含むね)を容易に引き起こすんだ。お酒が増えたり、不適切な関係性に傾倒したり、ギャングや買い物、SNSにのめり込んだりと、もろもろの依存につながるかもしれない。
そうすると、さらに、不安が増し、スリカエようと悪循環に陥るかもしれない。
AC:「意志の力」を使うとは、自律していて、とてもがんばっている状態に聞こえますが、行き過ぎることもあるんですね?
Co:意志の力のみを使うとは、限定した自分のみを盲信しすぎるのではないかと思う。
私たちには思考だけではなく、不安や怒りなどの感情や身体感覚を持っている。人間の存在、地球の営みそのものが自然な流れの中にあるように「意志の力」関与しない。私達とは自然や他者と相対化した存在として生きているに過ぎないなのだろう。
AC:なるほど。
Co:私の考えであるが、生き延びるために「意志の力」に盲信してしまうとは、限定した自分、あるいは、他者になろうとしてしまうのことではないかと思う。
AC:はー。
Co:もちろん、家族トラウマの後遺症がありながら生き延びるために必要だった「意志の力」ではあるが、。
AC:もう、手放してもいいんですね?
Co:そうだ。ほんとうの自分になるために。自分の専門家になるためにね。
AC:うーん、ちょっと悔しくて、悲しくて、さみしいけど。そして、う〜ん、なかなか難しいです。
Co:うん、次の章からは、そのためのいろいろなワークを紹介するよ。まずは、感情、身体感覚を受け入れるエクササイズだ。

2020.10.13

 

 

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