Ⅳ章:「自分の専門家」になる冒険 ac-alive-060 生き延びるために使ってきた「意志の力」を手放すとは?

Co:これまでがんばって生きてきたね?
AC:・・・はい。
Co:どんな風に?
AC:とにかく、誰にも迷惑をかけないように、自分でなんとかしなくてはと。
Co:主にどんな力をつかってきたのかな?
AC:え?
Co:は?
AC:・・・私に力なんてありません。だから苦しいんです。
Co:何事もひとりでやり遂げる、自分でなんとかする、あー、「意志の力」かな?
AC:そんなの普通のことでしょ?
Co:ふ〜む。ところで、意志の力でやり遂げることができないことって何?
AC:は?
Co:対人関係の問題とはいつでも「相手」がいる。仕事や社会にも「複数の相手」が介在するね。それから、私たちの身体にある心臓の鼓動や脈拍、血流の流れ。自然界という春夏秋冬の流れも意志の力ではコントロールできない。
AC:は?そんなの、あたりまえでしょ。だから?(怒)
Co:ふむ。私たちは「意志の力」に頼りすぎているときに対人関係の問題、身体への負担が生じるのだろう。
AC:はあ。そんなの普通でしょ?
Co:そう?もし、意志の力に頼らないとしたら?
AC:・・・えーと、ただの「だめな人」になってしまうでしょう?(怒)
Co:だめな人?
AC:頑張らない人。
Co:それは?
AC:負けでしょ、かっこ悪い。恥ずかしいし、生きていけない。
Co:それが、意志の力を過信している状態かもしれない。
AC:はー?(怒)
Co:私たちは自分にしかなれない。でも、誰かになろうとして、いつも挫折する。で、負け、かっこ悪い、恥ずかしいを避けるために、また意志の力のみを過信するようになる。

ーーーーーーーー

Co:もし、ACや「自分の専門家になる」というコンセプトを知らずに、自己愛が傷ついたまま共依存関係に翻弄されいたらどんな自分になっていたのだろう?
AC:自分の専門家になったのですか?
Co:うん、まだまだ旅の途中なんだろうと思う。でも、すくなくとも、いまの自分以外でいることはもうできないだろうと思う。
AC:満足しているということ?
Co:いや、満足という感覚ではない。他者の評価がどうであれ、私が私であるためにできることをしているし、それで得られるものをできるだけ享受しようとしている自分を気に入っている。
AC:共依存や仕事依存は、えー、治ったのですか?
Co:う〜ん、ときどき、根を詰めて仕事に没頭してしまったり、自分の無力を受け取れず苛まれて眠れなくなることもしばしばある。
AC:・・・そういうときはどうするんですか?
Co:うーん、そういう自分になるべく早く気がついて自覚するよう意識を向ける。自分の課題として受け入れて、ワークをする。
AC:へー。
Co:そうすると、懐かしい感覚を味わえるな。あー、また、やってるなーおれ、と。
自分の責任でなんとかしなくてはいけない!という強い「意志の力」で、眼の前の不安や恥に抗い、スリカエてなんとかするという生き延び方をずっとやってきたのだと自覚できる。
AC:ふうむ。
Co:いまでは、意志の力ではなんともできないことだらけなんだ人生は、と気づいてきた(笑)。
AC:はー。相手があることだし。身体の不随意な流れや自然の摂理には逆らえないし
Co:そーだ。それなのに、意志の力で感情や身体までコントロールしようとしまう(笑)
AC:はー、子ども時代からそうやって生き延びてきたからですね?
Co:ありがとうー。もう、おとなだから(笑)コントロールできないことを知って、意志の力への過信を手放さなくてはいけないね。
AC:はい。
Co:そう。A.ミンデルは、「感情、身体」をないがしろにして、何かをしようとするとき、「不安感」が浮上するのだと言っている。「気づき」ではなく「力」に頼っている状態なんだと。<引用マーク>
私の事例では身体感覚に自覚を向けることで意志の力を使いすぎているなと知ることができる。
AC:へー。
Co:例えば、なんだか妙に焦りを感じている気分とか、持病のヘルペス頭痛がビリッと走る時、あるいは、頭が冴えすぎて眠りにつけないときなど。
あー、いま、意志の力全開で何かをコントロールしようとしすぎているな~と。
AC:ほー。
Co:ほんとうは私の深い部分が何か大事な変化や成長のシグナルを発しているのに、気づきたくないから、気づきをスリカエているのかもしれない。だから不眠とは私にとってすてきなメッセージなのだろう。だいたいは、自分の必要を満たすことをスリカエていると思う。
AC:・・・どうして気づきたくないのかしら?
Co:もし気づいてしまったとすると、誰かに申し訳なく感じるからだ。強い罪悪感を。例えば、父という唯一の親族だった対象を、思っているほどすごい人ではなくて、自分にとってほんとうは「悪い人」だったのではと疑わなくてはならないからだ。そして、そう感じる自分に強烈な恥を感じなければいけない。
AC:ほー。
Co:このプロセスは、分離個体化という発達段階においてとても重要なプロセスなのだが、スキップしていたのだろう。だから、いま、ここで迫られる。
養育者から別れ、ひとりの個体として自律するには、強い疑惑と恥がともなう。
AC:いまどんな気分ですか?
Co:ふ~む、と言う気分だよ、受け取らせてくれたんだね?
AC:うふふ。
Co:ありがとう!
AC:ところで、「意志の力」を使うのはとても理性的だと思うんですが?
Co:うん、そうだ。しかしながら、意志の力を過信してしまうとことは、限定した自分のみを盲信しすぎてしまうのではないかと思う。
AC:ほー。
Co:地球の営み、春夏秋冬が自然の流れの中にあるように、不安や怒りなどの感情や身体感覚とは自然な流れだね。心臓の鼓動や脈拍を「意志の力」でコントロールすることはできない。
AC:なるほど。
Co:「意志の力」への盲信は、限定した自分、あるいは、他者になろうとしてしまうのことではないかと思う。
AC:はー。
Co:もちろん、幼少期児童期に生じた自己愛の損傷、家族トラウマの後遺症がありながら生き延びるために必要だった「意志の力」ではあるが、。
AC:もう、手放してもいいんですね?
Co:そうだ。意志の力への過剰な邁進から降りてみて、私が私であるための感情や身体感覚を受け入れてみること。自分の専門家になる冒険をゆっくり歩きだしてみる。
AC:うーん、ちょっと悔しくて、悲しくて、寂しくて、。強い抵抗も感じます。
Co:うん、次の章からは、そのためのいろいろなワークを紹介するよ。まずは、感情、身体感覚を受け入れるエクササイズだ。

2022.7

 

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