***ACという生きる力 連載エッセイ!

Ⅴ章:自分の専門家になるためのエクササイズ ac-alive-066  身体症状をワークする。

AC:身体症状って病気ということですか?
Co:病気を患うことはたいへんなこととは誰もが知っています。そして、病気には適切な医療が必要です。ワークを試みる対象は、心身相関的な要因が少なからず関与していると考えられる慢性的な抑うつ症状や不眠、首や腰の痛み、難聴や耳鳴り、または、感情の爆発、人間関係依存など投薬治療の説明モデルでは全体をあつかい難い症状、状態だろう。
大病を経て人生観ががらっと変化したと話す方も少なくないだろう。病気の体験とは私たちに症状や困難に加えて、人生になんらかの示唆を与えるものであることは先人らの文献などに枚挙に暇がない。
ミンデルによれば身体に問題を持つことは夢を見るようなものであり、夢を見ることが健康なことであるように、身体が症状を生み出すのも健康なことであると述べている。
アーノルド&エイミーミンデル 富見幸雄・青木聡訳(1999)うしろ向きに馬に乗る プロセスワークの理論と実践 春秋社

身体症状とは無意識の行動や思考の産物であると仮説できる。誰も意志をつかって病気や身体症状を起こすことはできないだろう。
AC:そりゃそうです。できれば、身体症状などは起こしたくありません。
Co:ふむ。さっきは投影を取り扱うことで、ふさいでいた自分の断片を明らかにするワークをしたね。投影も無意識の産物だね? 身体症状のワークとは、身体症状の背後にある流れやそのメッセージに気づきをむけ、これまで塞いでいた自身の力を体験してみようとする試みだ。
AC:なるほど。
Co:不眠のワーク事例を話す。彼は長いこと不眠とつきあってきた。幼少の頃はとにかく眠るのが怖かった。眠ろうとすると不安や興奮のようなものが襲ってきた。大人になってからは、眠りとは仕事や運動で疲れ果てて倒れることだと思っていた。彼は心理学の勉強を始め自分を振り変えることで、要因のような体験があると知った。でも、知ったからと言って解消されるわけでもなかった。乳児期の死別体験、トラウマ(心的外傷)が由来する対象喪失、心身症。脳が安心して眠るという体験が不全だった。

ひどいときは、ベットに横になったものの「どうやって眠るんだっけ?」と考えなければいけなかった。それでまた眠れない。ときには医者に行って薬をもらった。お酒をたくさん飲んでしまうこともあった。
眠れないというのはなかなかつらいものだ。薬が増えてしまうことに恐れて、あらゆるサプリを試してみたり睡眠に関する本を読んでみたりとこれまであらゆることを試したが、よくならなかった。
ある時、彼は観念し、不眠を排除することより、自分にとって不眠がどんなシグナルなのか自分を探求するツールとしてワークする方を選んだ。

いまでは、彼にとって不眠は、自分と自分の人生を愛することを忘れているぞ!そこに意識を向けろというメッセージなんだと知った。他者のケアをするのは十分だ、自分を無視しているぞ、抱え込み過ぎだぞ、意志の力に頼りすぎだぞ、もう手放せ!という警告とともに。当たり前ように聞こえるけど、「意志の力」で眠りにつくことはできないんだと知った。

AC:力で眠ろうとしても眠れないものね。
Co:そう。
AC:彼の不眠はどうなったんですか?
Co:うん。どのような自分との関係性が不眠につながるのかワークを続けている。つまり、不眠になる関係性に気づきを向けている。
AC:えっ?
Co:うん、不眠を創り出すプロセスにとりくむと、不眠の必要性をなくすプロセスがわかるということだ。
AC:ほー。
Co:うん。彼の事例では、自分の快楽、気持ちの良い身体体験を後回しにして、仕事の限界設定、時間や職責、責任の範囲などを超えた時に不眠になると知った。
AC:なるほどー。
Co:だから、不眠になったら、気づかずに何か背負い過ぎているな、無意識に自分に圧力をかけている、さて、いったいなんだろう?と振り返ることができるようになった。
AC:うんうん。
Co:さらに、今朝はあまり眠れなかったからどうせ仕事もはかどらない、今日は少しスローダウンしてみようと思えるようになった。そうすると、仮に眠れなくともそれほど気にしなくなる。結果的に、徐々に眠れるようになるかもしれない。
AC:ふむ。
Co:うん、いつでも眠れなくてはいけないという思いから解放されて気分が良くなるし、自分の多様性に気がつくことができる。このプロセスは治癒的であり、癒やしであり、変化であり精神的成長につながるだろう。

Co:さて、ここでは眠れないという身体症状がある人であると同時に、私は不眠という「症状を創り出している人」でもある。という視点で私自身をワークしてみる。参考文献:ミンデル、ドリームボディ

AC:はい。
Co:心身に起こっている知覚について敬意を持ってとりくむ作業だ。
それでは、早速、自分にワークしてしてみるよ手伝ってくださいね。
AC:はい。
Co:(自分に向かって)「あなたはどのように症状を創り出していますか?」(深呼吸)
「・・・身体感覚に従わない、疲れを感じるいとまがないほど仕事を詰め込んでいる」
どうしてそうするんですか?って聞いて。
AC:どうしてそうするんですか?
Co:うん、とても急いでいる自分に気づく、もっと知りたい!もっと興奮したい!
それにはどんなメリットがあるのって聞いて?
AC:それにはどんなメリットがあるのですか?
Co:そうだ、メリットがあるから身体感覚に従わない、疲れを感じたくないんだ。
・・・いまここで思い浮かぶメリットを挙げてみるよ。人生をコントロールできていると思い込むことができる。・・・そうやって自分の力を誰かに証明できる。あっ、がんばってることを誰かにわかってほしいんだ!
AC:・・・そうなんですか?
Co:いまこうして生きてることをわかってほしい。
AC:誰に?
Co:・・・。(言いたくない)
AC:・・・。(息をはく音)

Co:わかってるよ。って言ってもらっていい?
AC:わかってるよ。
Co:・・・。いま、どんな気分ですか?と聞いて。
AC:いまどんな気分ですか?
Co:安心したような、涙がにじむような、呼吸が通るような。スローダウンするような。
AC:ふ~。
Co:ワークにつきあってくれてありがとう。
AC:どういたいまして。

身体症状をワークすると我に帰ることができる。自分が自分自身にどのようなあつかいをしているのかを知ることができる。もし、彼にとって不眠がなかったら、どれだけ緊張した仕事を引き受けても、職責を超えた問題をいくつも抱えても、夜、眠ることができてしまったのなら、仕事を制限せす、問題を抱え続け、ロックンロールショーのような毎日を今でも過ごしていただろう、ちょっとぞっとする。

いまではワークのおかげで、問題を抱え過ぎたり、仕事を引き受け過ぎて倒れたりする状態から逃れられている。でも、そのような自分を当初は、なまけているのでは? と自分自身を責めてしまうことが多かった。

以前は、たくさんの仲間とわいわいとさわぐことに夢中だったが、いまでは、一人でいることがおおい。散歩もサーフィンもだいたいひとりで、海上がりは好き勝手に赤ワイン飲んでをジャズ聞いたりしている。
不眠という身体症状は、私をそういう人に変化していくことを求めたのだと知るに至る。つきあい悪いが、ひとりでもすくなくとも自分らしいと感じる身体は心地よい。

エクササイズ5:身体症状をワークする

1,安全で静かな場所で、呼吸のワークをしてゆっくりと自分に気づきをむけていきます。準備ができたら、これまでの自身の病気や身体症状を振り返ってみてください。

2,それはどんな体験だったのでしょうか? いま振り返ると、学んだことがあるとすればどのようなことですか?メモしてみてください。

3,自身の身体感覚に意識を向けてみてください。首や腰、背中の痛みや違和感、こりや喉のつかえなどに。そこに意識をむけながらゆっくりと呼吸を続けてみてください。
どんな自分に気がつくでしょうか?
メモしてみましょう。そこから得た気づきは今後のあなたの生活にどのように栄養になるでしょうか?

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2023.

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