複雑性PTSD ac-alive-016

Co:さて、サブクリニカル(補完的な医療)な領域であると話をした。でも、クライアントさんの個々の臨床像を理解するためには、先人の臨床研究や事例検討を読み解くために精神医療や他の専門家らと共通の言語が必要となる。
例えば、PTSDって聞いたことある?
AC:はい。災害や大きな事故などの体験、、、。
Co:そうだね。PTSDとは「心的外傷後ストレス障害:災害や事故などによる心的外傷体験による日常生活への著しい支障」、精神医療の専門家が使う、DSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き)の診断基準なんだ。でも、ACの困難や人生への支障を理解しようとすると、それには収まりきれない部分が多い。米国のトラウマ臨床家、ベッセル・ヴァン・デル・コルク(2016)らは、現在のPTSDの診断基準を拡大して児童虐待などが生み出すさまざまな症状を複雑性PTSDという概念にまとめているんだ。

複雑性PTSDとは、養育環境における、過度な期待や干渉、情緒的な無関心、主体の搾取などの目に見えづらいトラウマ体験の長期反復が由来する、複雑で特徴的なパーソナリティ支障、対人関係の歪みや様々なアディクションなどがあげられる。
ベッセル・ヴァン・デル・コルク(2016)は、子供時代に養育者によって身体的虐待あるいは性的虐待を受けた人々、最近家族内暴力を受けた人々と最近自然災害を経験した人々の抱える問題についての違いを見出し、PTSDの基準に加えた、対人関係のトラウマ対象のためのあらたな診断基準「複雑性PTSD」を提示している。
斎藤(1996)は、一見かけ離れた症状が、同一人物に同時に生じ、成長の早期に対人関係上のトラウマを受けた人に見られ、情動・衝動、解離性、身体症状、自己認識の障害、トラウマ被害における加害者認知の障害、人間関係の障害、世界観(意味システム)の障害などを挙げている。12)
ハーマン(1999)は、複雑性PTSDの主な特徴を以下の3つのよう提示している。3)
1)解離的防衛機制
強い感情の浮上における離人感、非現実感、無感覚症、不機嫌、耐え難い苛立ち感、反復的な自己身体を傷つけたくなる衝動などの適応形態。解離できない場合は「自分は悪い子」と思い込む。
2)断片的自己規定
高められた自己と低くめられた自己とを統合することができない状態にあり、ほどほどの長所とゆるされるほどの欠点とを持ったまとまりのある自己イメージを育てることができない。「良い子」であろうという観念にしがみつく。
3)感情状態の病的制御
自分が良い子でないから愛されないと感じていてて、良い子であろうと執拗に努力するが叶えらず自己断罪を繰り返す。絶えず緊張しているか回避しており、頻繁に爆発するような感情状態の歪みや、素直な感情表現を無意識に歪めてしまう傾向を持ち、自分の気持ちがわからなくなるなどの支障を抱える。
こうした状態を持つクライントは、子供時代に受けたトラウマを自覚していないことが少なくなく、トラウマ反応の衝動的な表れに対人関係、感情表出などが翻弄されている状態と言える。しかしながら、そういった状態にありながら生き延びるために使ってきた心的防衛機構でもある。
斎藤学によれば、人はだれでも程度の差があり完全には家族トラウマからまぬがれてはいないし、誰でも自己否定を抱えている。
「自分がわからない」「死にたい」などの自己評価に混乱していて、セラピーを必要であるかは、子供時代に受けたトラウマの質と量によってきまるのではと述べている。
<引用文献>斎藤学 自分のために生きていけるということ

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